欲、に出会った

無意識に閉じられていた扉が、開いて
欲、と呼ばれるものたちが、顔を出した。

幾度となく、ノックされていた。
それはなんとなく、わかっていた。
聞こえていたんだ。

そこに扉があることも、どこかでわかっていた。

欲たちは、思ったよりたくさんいて、
私は、たじろいだ。

見たくないものを見てしまったような気がして。
綺麗なものかといえば、そうではないような気がして。
他人には決して、見せてはいけないもののような気がして。

でも

彼らは、とても素直に、私にいろんな話をした。そして聞いているうちに、わかったような気がした。

欲は、純粋無垢だ。

彼らの話は、透明だった。
綺麗に、澄んでいた。

彼らは言った、
「あなたのことが大好きなの」と。

閉じ込めていてごめん。
見ないふりしてごめん。
汚いと思っててごめん。

隠していた扉から、
欲、と呼ばれるものたちが顔を出して。

そこにいたのは、
私のことが大好きな、私の味方だった。

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