1,育ったのは北海道の小さな田舎町。
現在、北京オリンピックが開幕中だ。
私は夏大会よりも冬大会派である。何故なら雪国で育ち、スキーをやっていたからだ。そのため、冬大会の中でもスキー競技……特にモーグルとアルペンスキーがお気に入りである。
私は北海道の小さな田舎町で育った。町にはふたつのスキー場があって片方は家からも近かった。ふたつの内、ひとつのスキー場は街中にあり、大小の真っ赤なジャンプ台があった。もうひとつのスキー場は街中から少し離れた山奥にあった。「パウダースノー」と呼ばれる良質な雪が降ることが世界的にとても有名で、日本のみならず各国からスキーやスノーボード客が訪れるほどである。
今回はスキーを中心に当時の思い出を順番に綴っていこうと思う。
当時、その山奥のスキー場の麓で私達家族はペンションを営んでいた。近隣もペンションや宿泊施設が多く、所謂「ペンション村」というやつだった。もちろん小学校の生徒達も皆、ペンションを営む家族の元で育ち、スキーができることが当たり前であった。私も当然スキーが得意だったし、妹もそうだった。
小学校は街中にもあったが、山から街中までは車がなくてはとても通い切れなかった。だからスキー場の麓に住んでいる子供達は皆、近くの小学校に通っていた。複式学級の木造のとても古くて小さな学校だった。自宅から歩いて片道2キロ。子供の足で30~40分はかかる。冬は雪が多くて歩けないので通学バスで登下校した。
自宅がペンション。近くにスキー場(しかも片方はジャンプ台付き)。スキーができることが当たり前。歩いて2キロの学校に通う。
都会に住んでいると考えられない環境だ。しかし、当時の私にはそれが分からなかった。当たり前だと思っていた。私は高校を卒業してから関東に引っ越したのだが、あの町に住んでいた当時の環境が、決して当たり前ではなかったことをその時、私は初めて知ったのだった。
2に続く。