楽譜とはなにか。
この質問を考えたのは、去年の年末だったかな。あれから一つ新しい曲を書き上げました。楽譜とはなにか、の問いに対して、少し実例を出しつつ、答えていきたいと思います。以下基本的なステイトメントです。
いつもやりたいことに応じて記譜法を一から考えるようにしている。そういった意味では、新しいアイディアに対しては、新しい記譜法を発明しなければいけないのかもしれない。いままで五線であったり、スペースノーテーション、文字譜、写真入り、イラスト入り、様々な方法でチャレンジしてきたが、まだまだ研究が必要。特に動きが入ったものに関しては、記譜法の在り方に悩んでいる。アドルノが「音楽作品の客観的存立、その本質は、《作曲家が》意図したものではなく、それが関係するところの、個人を超えた共同体と結びついた実在である」と書いているんだけども、音楽の本質は作曲家の意図や楽譜、解釈を越えて、もっと遠くにあると思っている。ずっと彼方先を目指して、そこを着地点に、楽譜の在り方について考えていきたい。
というのが、ほわっとした、楽譜に対する考えでした。実際、今やっていることを書いていこうと思います。
4月に初演するアクアの団地からです。2年前にエジプトのカイロに行ったときに、ふと思い出したワード「団地」がテーマです。
全体はスペースノーテーションで書かれているんですが、アンサンブルの部分として、拍子やテンポがある楽器が入り組んでいる、というフォーマットにしました。一つの教室のようなイメージで、中でグループに分かれていて、テンポによって速さやリズムが細かく規定されているところ、またはそれとは関係なく、たんたんと長い持続を一人で保つ人(教室の片隅で、もともくと本を読んでいる生徒みたいに)など、それぞれ自由度に変化をつけることにしました。そういった個々の動きとは別に、大きな枠でそれを包み込むアトモスフィアをどう作るか、が課題でした。
先日初演が終わりました。バランスが難しかった。再演がデンマークであるので、再チャレンジ。
以下エジプト初演の抜粋です。良かったら。
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