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”無料サービス”ではなく
前々回の投稿が5月7日、前回が6月7日、今日は7月7日。
ふと「そろそろ書きたいなぁ」と思うタイミングが、偶然なことに1か月おきに来る。毎日書いてた頃から比べたら、1か月おきにしか書きたい気持ちにならない自分をちょっぴりさみしく思うけれど、今はそうなのだと責めることなく、ただフラットに受け止めてみる。
少し前に、ネックレスが壊れた。
そのネックレスは友人からプレゼントされたもので、気に入ってほぼ毎日着けていた。が、あるとき、服の上からネックレスを着けたことを忘れてそのまま服を脱いだところ、チェーンが切れてしまった。(正確には切れておらず、小さい金具が取れてしまっていた。)
自分で修理できる?いや、できない…
お店に行こう。
ん?これ、販売店舗じゃなくても修理してもらえる…?
ぐるぐる考えていたら時間が経ち、気づけば放置状態に。ふと、もらった友人にもネックレスにも申し訳なくなり、やっぱり修理しに行こうと思い立った。
ひとまず近所にあるジュエリー屋さんへ。普段着で入ってはいけないかと思うほどきらびやかで、いいお値段のするジュエリーが並ぶその店舗。少し緊張しながら足を踏み入れると、店員さんがいらっしゃいませ、と丁寧に迎えてくれた。
「あの、ネックレスの修理とかってできたりしますか…?」
おそるおそる聞いてみると、ちなみにどのようやものでしょうか?当店で買ったものでしょうか?との返答。
ああ、やっぱりここで買ったものじゃないとダメなのかと思いつつ、いえ違います、これですと見せると、店員さんはニコっと笑って、他店様のものですね、確認しますね、と状態を見てくれた。
「店頭で修理できるかやってみますね。修理できない場合は工場に送らせていただきます。その場合、お時間は3週間ほどかかると思います。」
店頭での修理をお願いし、15分~20分ほど待つことに。元通りになるかな、どうかな、なったらいいな。そわそわ、うろうろしながら待った。
時間になってお店へ行った。
店員さんは私の姿が見えるとすぐに「お待たせいたしました」と満面の笑顔で迎えてくれ、修理を終えたネックレスを見せてくれた。無事に元通りにでき、クリーニングもしてくれたとのこと。
「ぜひ、たくさん身に着けてあげてくださいね」
ありがとうございました、とお礼を伝えると、こちらこそありがとうございました、と深々とお辞儀をする店員さん。私がお店を出る際も深々とお辞儀をする姿が見え、エスカレーターに乗り込み下の階に行く際も、再度深々とお辞儀をする姿が見えた。
私は少々恐縮する気持ちになった。
ネックレスはそのお店で買ったわけじゃない。修理代はもちろん無料。深々とお辞儀をする店員さんの姿を見て、一方的にしてもらいすぎてるような気がした。
でも”たくさん身に着けてあげてくださいね”の一言を思い出し、ああ、きっとこれはお金を払った、払っていないという問題じゃないんだろうなと思った。
その店員さんは本当にジュエリーが好きで、大切にしてて。ジュエリーを身に着けてきれいになったり、楽しい気持ちになる人が増えてほしいと思ってて。私はネックレスが元に戻って嬉しかったけれど、店員さんもきっと修理できたことが嬉しかったんだ。と、あくまで想像でしかないけれど。
単にお店の無料サービスの範囲だったというだけかもしれない。でも、店員さんの姿勢や振る舞いに、それだけではない仕事への信念のようなものが見えた気がした。
ネックレスが元通りになってから、ほぼ毎日身に着けている。
こんなことなら早く修理に行けばよかったなと、でもこのタイミングだったからこそあのお店、あの店員さんに会えたのだと思うと、少し放置したことも悪くなかったなと思えている。