ふたつの仕事、どちらも本業
今まで就職して働いていることは、自分のマクラメ教室の生徒さんにはあいまいにしか伝えていなかった。もし、何か手落ちがあった時に【だって外でも働いてて忙しいんだからしょうがないよ】と自分に言い訳してしまいそうで嫌だったからだ。それに、生徒さんに【外で働いているから、マクラメ教室の方は所詮、半分遊びなんだろう】とは絶対に思われたくなかった。
どっちが本業かと聞かれると、困る。どちらも本業だ。マクラメ教室は月に3回だけではあるが、レッスンの事前準備、事後処理の他、教材開発、販売商品開発、広報、生徒さんとのコミュニケーションなど、やるべきことは果てしなくある。かたや、外の仕事は平日9~18時と時間は決まっているが、マクラメ教室より多い収入を得る。
仕事は自分の幸せの一部でなければならないと思う。人生の中で働いている時間は、長い。その長い時間が幸せに過ごせないのは苦しい。幸せと言っても、「喜」「楽」だけの意味ではない。困難な仕事のやりがいや達成感、自己効力感、仕事中のフロー状態などには、傍から見れば喜・楽とは真逆のことをしている時もある。真剣に取り組めば取り組むほど、「怒」や「哀」だって伴うだろう。それも全部ひっくるめて働く幸せだ。
私の幸せは大雑把に言って、家族と過ごす時間とマクラメの時間に集約できる。外で働く1番の理由は家族と安心して暮らす基盤を確保するためだ。そして、マクラメ教室は、自分で自分を幸せにする方法を毎日の生活に組み入れるための仕掛けだ。だからやっぱり、どちらも本業。
でも、今までマクラメ教室の生徒さんには外で働いていることを言わないことで、何かあったらそれを理由にしてしまおうと保険をかけていた。最近になってようやくその言い訳を使わない覚悟が決まった。それは新型コロナのおかげだ。
昨年春の緊急事態宣言中には、マクラメ教室も開講できなかった。3ヶ月も間があけば心理的に遠ざかるのは当たり前。再開しても誰も教室に来てくれないかもしれないと半分諦めていた。けれど、実際に再開してみたらほとんどの生徒さんが戻ってきてくれた。それどころか、感染予防のため以前とは色々な面で変更があっても協力してくれる。そして、コロナ下においても新規の生徒さんが扉を叩いてくれた。本当に本当に嬉しかった。ありがたかった。
そんな生徒さんに対して、逃げ口実を用意しておくなんて、私はなんて不誠実だったんだろう。これから堂々と、どちらも本業と胸を張ろう。そしてその発言に責任を持ち、どちらの仕事もさらに真摯に取り組みたいと思う。(母や妻はデフォルトなので言わずもがなだ。全部頑張るぞ!えいえいおー!)
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