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漢字は忘れても一緒に練習したことを覚えていて欲しい

「つくづく思うんだよ。人間ってさぁ、同じ間違いを繰り返す動物だよね。」

漢字練習をしながら、息子がしみじみと呟く。

彼は漢字を書くのがとにかく苦手だ。書き順がいつもてんでバラバラ、右からでも下からでも、自由に書きたいところから書く。だから手が覚えない。漢字テストの時は頭で覚えている形を思い出して書こうとするから、どこかが間違ってバツがつく。

そんな彼もさすがにこれでは中学校に行ってからまずいのでは、と思ったらしく、冬休みの自主学習で漢字をおさらいすることにした。1年生からすべて、1026字。

よし。母さんも一緒にやるよ。

言ってしまってからかなり後悔したけど、そう決めた。

見本は、漢字配当表をプリントアウトして渡せば済むことだ。でもそれではきっと今までの漢字練習と同じように、やっつけ仕事になって終わるだろう。

だから、私がノートに、丁寧に見本を書く。筆順アプリで、ひとつひとつ筆順と、とめはねはらいを確認して、赤字で書き入れる。母の手書きが息子のモチベーションを支えてくれるはずと信じて。

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小学校の時、私は字がとにかく下手で、通信簿はいつも「字をきれいに書ける」が三角マークだった。今では手書き自体が少なくなったため、ますます字が下手になった。

見本を書きながら、やっぱり私は字が下手だと嘆息する。けれど、筆順を確かめながら書道家になりきってカッコつけて書いていると気持ちがいい。今まで書き順を間違って覚えていた字が直せたのも、得をした気分だ。

そして何より、息子と一緒に取り組めることが嬉しい。もし漢字は覚えられなくても、一緒に練習したことが彼の思い出に残ってくれたらいいなぁ…。

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