細胞が化合物に反応して色が変わる「生きたタトゥー」を3Dプリンターで出力
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究プロジェクトは、生きた細胞からなるバイオインクを使った世界初の3Dプリンティング技術を考案し、2017年12月、その研究成果を学術雑誌「Advanced Materials」で発表した。
研究プロジェクトでは、この3Dプリンティング技術を実証するべく、薄く透明なシートの上に、細胞とヒドロゲルでできたバイオインクを層状に積み重ね、木をモチーフにした“生きたタトゥー”を出力。
枝ごとに異なる化合物に反応するよう、遺伝子学的にプログラムされた細胞が並んでおり、肌に貼ると、それぞれの枝が、対応する化合物を感知し、反応して光る仕組みとなっている。
このバイオインクの特徴は、弱くて簡単に破裂しやすい哺乳動物の細胞の代わりに、3Dプリンターのノズルからの押し出しにも耐えうる丈夫な細胞壁を持つ細菌細胞を使用している点。
さらに、プルロニック酸を配合したヒドロゲルをこの細菌細胞に混ぜることで、3Dプリンターで安定的に出力できるようになったという。
“生きたタトゥー”を出力する3Dプリンティング技術は、今後、様々な分野での応用が期待されている。
大気中の汚染物質を検知して色の変化で表示するといったように、様々な化合物を感知し、その反応を可視化するウェアラブルセンサーのほか、時間の経過とともに放出される薬剤カプセルやインプラントなどにも応用できそうだ。