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茶道なんてつまんないと思ってた私がお稽古に通うようになるまで
”昔は花嫁修行でみんな通ってた”
そう聞くたびに「なんだかめんどくさそうだし古臭くて魅力ないな…」と思ってた茶道。それなのに40歳を超えて大人の手習いとして今年お稽古に通うようになった心境の変化を書き留めておこうと思います。お茶に興味のある人もない人も、よかったら一杯飲みながらお付き合いください。
うつわの歴史を紐解くことから始まった茶の湯への興味
フリーランスとして働くようになって早7年強。レシピの撮影やイベントでのディスプレイで食卓まわりのスタイリングをしたり、うつわブランドの商品開発に携わったり食器のことについて語ることも増えました。もっと勉強したいと産地をめぐる旅をしたり、作り手の方のお話を聞いたり、食器をどう使って楽しむかからスタートした私の興味は、どんなふうにうつわが作られ、どんな歴史を経て今のうつわがあるのか?にどんどん関心が出てくるように。
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特に日本の食器の歴史を紐解くと、お茶の席で美学や技術が鍛錬されてきたという背景があります。さまざまな焼き物や装飾の技術が練られ、廃れて、また発見されて…。もちろん実用的な食器がイコールではないのですが、何事も文化はハイエンドから始まり徐々に汎用化されていくという背景は否めません。
そう思ったら「茶道知りたいかも」急にむくむくっと興味が出てきたんです。
お月謝をPayPayで払いたい
とはいえ、お茶のお稽古ってものすごーーーーーーーーーーーーーーーーく
堅苦しいしつまんないなというのが正直な感想。
カルチャーセンターやら大人向けのお教室やら体験に行ってみたりもしたんですが、なんだかつまんない。何が好きじゃないのか言語化するのが難しいけど率直な感想としては
毎週行かなくてはならない(そんなに時間取れない)
毎回同じ曜日に行かなくてはならない(フリーランス不規則だから無理)
しきたりや礼儀に厳しい(謝礼に関しても、もうこのご時世PayPayでパッと払いたいくらいだけどピン札を用意しないととか、お中元を選ぶとかお付き合いが大事とか色々大変そう)
茶室がアガらない(上手く言えないけど見学したところは雰囲気がいまいちでここにお金払って通うのかあ…というゲンナリ感が否めなかった。特にスクール系。ちゃんとしたところもあると思う)
説明があまりなく動作の練習ばかりする(いきなり帛紗さばきだけしても何が楽しいのかわからない。もっと色々質問したり知りたいけどそんな時間があまりない。型から学ぶことに意義があるのはわかってるけど知的好奇心を満たしたいのに満たされない)
言語化が難しいけどとにかく全体的に古臭くて性に合わない
せっかく通えるところを探そうと思ったのも束の間、自由の民として生きてきた人間にはかなり窮屈な世界でどんよりした気持ちに。やっぱりお稽古は嫌だな、諦めようといったん開きかけた扉を閉じたのでした。
現代的解釈の自由なTEA CEREMONY
それでも心の奥底に「でもやっぱりお茶の世界が気になるなあ」と思いながら過ごす中でピンとくる出会いが。品川に居を構えるお茶のサロン『滝爪』を訪れてみたらそこにはときめきとひらめきが満ちていたのです。
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こちらは茶道とは異なり、独自のスタイルでお茶のコースを提供されている喫茶です。飲み物は抹茶ではなく日本茶ですし、お茶菓子は洋菓子、食器も現代作家さんのものや洋食器をリサイズしてオーダーされていて必ずしも和の茶器ではありません。またメディテーションと組み合わせて独特の体験を提供されています。
でもこの自由さがピンときた!このオリジナルな解釈で作られた世界観、素敵!独特のセンスでものを選び、体験を構築しているけれど、所作やコースの組み立て方、和室の使い方など、背景に少し茶の湯のエッセンスは感じられる。これくらいの現代的解釈のTEA CEREMONYならやってみたい!そう思ったのでした。
キュレーションと世界観の表現としての茶道
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振り返れば、自分が学んできたテーブルコーディネートって一つのテーマや季節感を食卓で表現することなのですが、まさに茶道って日本の中で行われてきたテーブルコーディネートじゃない…?と。掛け軸を選び、茶花を選び、お菓子を選び、お着物を選び。コンセプトに合わせてものをキュレーションし、茶室という一つの空間で世界観を表現する。それを500年近くの歴史の厚みをもって続けているのが茶道なわけです。
これまで洋食器のテーブルコーディネート学んできたけど灯台元暮らしとはこのこと。自分の国にもこんなにクリエイティブなカルチャーあったじゃん、と。自分の表現方法を広げるという意味でもこれは学びたい。もちろんそっくりそのまま継承するのは無理だけど、エッセンスだけでも知りたい。
SNSってすばらしい
やっぱりちょっとでもいいから触れたいな。でもそんな呑気な心持ちでお稽古にいけるわけないしな。あ〜もう〜茶道の敷居の高さどうにかならないの〜!!
と悶々として描いたツイートとがこちら。
「お茶(茶の湯)に興味があって〜」と話すと「私もです!」と共感されるし、
— 菅野 有希子 yukiko sugano (@yukiko130) October 5, 2023
「でもお稽古がカルチャー的に合わなくていく気がしなくて…」と言うとこれまた
「私もです!!」って共感される。
みんな興味はあるけど昔ながらのお稽古はちょっと…って思ってるよね。ほんと。 pic.twitter.com/NzwVKG52DC
「興味はあるけど敷居が高すぎ」と、ぼやいていたらなんとお茶の先生からDMが。以前から私をフォローしてくださっていた方で、週末お茶の先生をされていると。聞けば30代女性で私より若い方。インスタを見ると写真の世界観もフレッシュでセンスが素敵。年齢で区切りたくはないけれど、ただでさえカチンコチンに凝り固まった世界で先生は年配の方が多く感覚がちょっと合わないなと思うこと多数だったので、SNSフレンドリーで若くて写真も綺麗な方なら合いそう!と早速体験を申し込みました。
お稽古は先生次第
早速体験に行ったらこれがもう本当に楽しくて。
先生が優しいし、色んな質問に答えてくれるし、写真もたくさん撮らせてくれるし(普通はダメだと思う)感覚的に合う方だったのでそれが本当によかった。
あんなに「お茶には興味あるけどお稽古に通うのは性に合わなくて」と諦めてたのに。やっぱり出会いってあるしSNSの良さってこういうところだよね。
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そんなわけでとりあえず今年からお茶のお稽古に通い始めております。
1月のお稽古初日は、前もちょっとだけかじったことのある帛紗捌きをさっそくやることになって、形式を追うのを楽しめるかなあなんてドキドキしてたけど拍子抜けするほど楽しかった。教える方が違うと感じ方も変わるのでしょうか。
茶道は極めようと思ったらお金もかかるし道のりも長いし大変なことになるというのを知っているので、おそらくあまり深入りはしないような気がしていますが、それでも少しでも学んで自分の人生にプラスになったらいいな。
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カフェオレボウルで立てるMATCHA
余談ですが、日本に住む私たちにとって抹茶を飲むことって滅多にないと思いませんか?煎茶はまだある、けど抹茶を家に置いている人ってほぼいないですよね。
でも海外のインスタを見ているとすごくカジュアルに抹茶を飲んでいる様子を見かけます。こんな感じ。新しいセンスという意味ではこっちの路線も最近気になってます。
キュートなカフェオレボウルにささっと入れて抹茶ラテとかにして飲んでるのをよく見かける。抹茶流行ってるの?って勘違いしちゃうくらいよく見かける。これくらいカジュアルに飲むのって楽しそうだし、ポップな洋食器を組み合わせてオリジナルのTEA GOODSをセレクトするのも可愛いですよね。いつかこういう和洋ミックス的なスタイリングしてみたいです。
おすすめの茶道の本
最後に、この間初心者向けの茶道の本を10冊くらい読んだので中でもよかった本をおすすめします。リアルが大事とは言え「そもそもどうなってるの?」「全体像知りたい」というときにはやっぱり本っていいですよね。
松村 宗亮氏著『人生を豊かにする あたらしい茶道』
現代的な感覚で包括的に茶の湯の世界を解説をしてくれるナイスな本。感覚が若々しくとても飲み込みやすいしイラストでの紹介も多いのでスルスル読めます。
川口 澄子氏著『お茶のすすめ: お気楽「茶道」ガイド』
漫画スタイルでサクサク読めました。
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