ギリシャ神話と人体の機能 原初神夜の女神ニュクスと匂いと光

ニュクス
ギリシャ神話に登場する原初の神で、夜の女神である。ニュクスとはギリシャ語で夜の意味で、夜の神格化である。
ニュクスは根元神カオスから生まれ、奈落のタルタロス、大地のガイア、愛と欲望のエロース、暗黒のエレポスとは兄弟。

ホメーロスによれば、ニュクスはゼウスにさえ恐れられ尊ばれている女神であると言われる。

ギリシャ神話は人類がいかにして様々な機能を獲得していったかが記された物語である。

カオスは未分化の細胞塊であり光である。
ガイアとタルタロスは細胞分化の系譜を
ニュクスとエレポスは光分化の系譜を示す

大地母ガイアは原腸胚であり、奈落タルタロスは原腸陥入(溝)。
ガイア、タルタロスから胚葉が形成され細胞分化が進む。
特に外胚葉は脳神経系と表皮系に分化し間脳ゼウスや感覚器デメーテールなど人体の機能の中枢を担っていく。

夜ニュクスは匂い分子(有機化合物N.C.S.H)、暗黒エレポスは電子
ニュクスとエレポスからヘーメラー(昼)とアイテール(上天の清明な大気)、カローン(地獄の渡し守り)が生まれた。

ヘーメラーは色を
アイテールは音(振動)を
カローンは嗅覚受容体を意味している。

匂い分子は嗅覚受容体で電気信号に変換され脳へと送られる。
地獄の渡し守りカローンは死者(電気信号)だけを運ぶが、匂いの感知システムが完成した。

嗅細胞でキャッチされた匂いの情報は,脳へと直接に連絡する。
この脳の部分を嗅球といい、嗅球からは嗅皮質さらに眼窩前頭皮質へと連絡されて匂いが認識される。
嗅皮質からは海馬という記憶に関わる領域にも連絡。
さらに扁桃体という感情に関わる領域にも連絡。
匂いによって瞬時に記憶が蘇ったり,感情が動かされたりするのは,匂いの情報が直ぐに脳に達して,海馬や扁桃体へと連絡するためと考えられている。

ニュクスはさらに1人で様々な子を生む。
代表として運命のモイライ三姉妹、死タナトス、眠りヒュプノス、復讐の女神ネメシス、争いの女神エリス等。
これは様々な匂い分子とその役割を意味すると考えられる。

匂い分子は記憶と深く結びつく事を死タナトス、眠りヒュプノスが象徴している。
この二人は奈落タルタロスに館を構え住むが、記憶の奥深くに追いやられた情動の経験と匂いが結びついている事を示す。
匂い本来の効果は、記憶により別の効果を引き起こす。

例えば、植物は他の生物を殺す能力を有するフィトンチッドを放出する。
消臭効果、抗菌効果、抗酸化作用などをもつ。
このように、それぞれの匂いには役割がある。
だが、この香りを嗅いだ時の情動の記憶により別の効果を生ずる。

運命のモイライ三姉妹。
モイラは割り当てを意味する。

におい分子の多様な骨組みは,炭素 原子同士が単結合でつながることや,単結合と二重結合が 組み合わさってつながることで作られている。
このように して作られた分子構造の様々なかたちが,特徴的なにおい を生み出している原動力である。
モイライ三姉妹はこの炭素結合のシステムの再構築を示す。
炭素は複雑な結合システムをもち、単純な足し算で匂いを規定している訳ではない。

モイライ三姉妹はゼウスとテミス(掟)の娘ともされるのは、この炭素結合構造がDNA構成単位のヌクレオチドの構造となっている為だろう。
よって運命を司る女神となる。

生命はどこから生まれたのか。
それは水と光から生み出された。

光は粒子(光子)と波の性質をもつ。
粒子は電子であり、原子にぶつかり、化合物を生んだ。
一方で波は、色と音に変換された。
色と音に共感覚があるのはこの為で、そうなると匂いも色と音の共感覚をもつだろう。
食欲と色の関係もこれに由来すると考える。

素粒子は、水に弾け光る。
水を介して情報が発現する。
水の惑星地球。
様々な光情報が、この地球でこそ発現可能となる。

見えない光を感じとる、その最重要ツールが「匂い」だと言える。









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