分かち合う心ーハプロD遺伝子について考える
古代シュメール人が用いていた六十進法であるが、この複雑な六十進法の数詞を用いる民族が東南アジアにいる。自然言語でこの数詞をもつ言語は極めて少ない。語彙は文化そのものである。つまりこの語彙を持つことは、六十進法の概念を持つ民族といえる。語彙と関連するが、シュメール人がいたメソポタミアでは天文学が発展した。古代バビロニアの星図版に描かれる図象をよく考える必要がある。彼らの生活、文化と密接に関係するからだ。
ただ星座が作られた訳ではない。何度も書いてきたが、魚座は、チグリス・ユーフラテス川を指すといわれ、その図象はツバメと人魚である。つまりメソポタミア文明を築いたのが、渡り鳥ツバメと海の民族であった事を示してはいないか。
ニューギニア島のエカリ語でも六十進法の数詞が使われている。これは内部に十進法と二十進法を含む複雑な体系である。六十進法をもたらしたのは、東南アジアから渡ってきた人々だと考える。
ニューギニア島
ニューギニア最初の人類は、氷期の頃にスンダランドから移住してきた人々であると考えられている。スンダランド(Sundaland)とは、現在タイの中央を流れるチャオプラヤー川が氷期に形成した広大な沖積平野の呼称。同様に、中国と朝鮮半島、日本に囲まれた黄海も平野であった。ここは、スンダランドと平野で繋がっていた。
スンダランドが起源とされるハプログループM7は、日本人の約13%が該当する。
日本人独特の集団で、日本列島に最も古くから居住しているグループだと考えられおり、数万年前に南方から日本へやってきて、縄文人として繁栄したとされています。
これはDNAのミトコンドリア解析による分類。もう一つY遺伝子から解析されると、日本人にはハプロDグループが多い。約4割。そして、このハプロDグループは、アフリカ発生でなくアジアから発生したという説がある。アイヌでは8割。チベット5割。
ボトルネック効果をご存知だろうか。
ボトルネック効果という名称は、細いびんの首から少数のものを取り出すときには、元の割合から見ると特殊なものが得られる確率が高くなる、という原理から命名された。
人類の規模が7万5千年ほど前に急減して総数1万人以下となり、遺伝子の多様性が急速に失われた形跡がある。この原因を、その頃のインドネシア・スマトラ島トバ火山の大噴火(火山の冬)に求める意見もある(トバ・カタストロフ理論)。つまり、現在の全人類はこの時生き残った一握りの人々の子孫である可能性が高い。一方で、少数の人々が移住して現在の人類の祖先となった結果だとする説もある。
ボトルネック効果と同じ原理で、個体群のごく一部のみが隔離され、その子孫が繁殖した場合に、同様の集団ができる。この場合は最初に隔離された少数の個体(創始者)の遺伝子型が引き継がれるため、創始者効果という。
一部の人類が急激な変化に耐えられたのは何故かを考えた時、私は一つの仮説を導きだす。「分かち合う心」。
京都大学松沢教授が、霊長類との比較により達した結論。人類は、分かち合う心により進化してきたと。
苦しむ人に寄り添い、他者の苦しみを想像する心こそ人類が進化できた力なのである。
私はこのD遺伝子に、その心をみる。マレビト信仰も分かち合う心を象徴している。
聖徳太子は言った。和をもって尊しとなす。ただ、今はその心が良くない方へ傾いていると思う。他者の心を読み過ぎて、自分の心を失っている。同調圧力に屈してはいけない。聖徳太子が本当に言いたかったのは、争いを避ける為に自分を殺す事ではなかったと思う。多様な意見を受け入れることこそ、本当の和ではなかろうか。
Y遺伝子ハプロD、私は勝手に平和遺伝子だと考えている。
倭は和。和の国、日本。今、本当の力が試されている時代だと思う。