ギリシャ神話ヘラクレスの冒険 アウゲイアースの家畜小屋と卵子の減数分裂
エーリス王アウゲイアースは3000頭の牛を持ち、その牛小屋は30年間掃除されたことがなかった。
ヘーラクレースはアウゲイアースに「1日で掃除したら、牛の10分の1をもらう」という条件を持ちかけ、アウゲイアースは承知した。
ヘーラクレースはアルペイオス川とペネイオス川の2つの川の流れを強引に変え、小屋に引き込んで30年分の汚物をいっぺんに洗い流した。
しかし、おかげでこの川の流れは狂ってしまい、たびたび洪水を引き起こすようになったという。
この話は、卵子の活動再開の話。掃除は減数分裂を指している。つまり染色体が減る、整理される。
女性は、生まれる時には原始卵胞を卵巣に約200万個蓄えている。
そして、生まれてから月経のはじまる思春期頃には、約170万個から180万個が自然に消滅し、 思春期・生殖年齢の頃には約20~30万個まで減少。
哺乳動物の卵子は第1回目の減数分裂途中で長期の休止期に入り、その後減数分裂を再開し、その過程で精子の侵入を受ける。 精子の侵入を受けてさらに減数分裂を進行させ、卵割を行う。
雌の動物は、まだ母親のお腹の中にいる間に,卵母細胞の減数分裂はすでに始まっている。
雌の動物が赤ちゃんとして生まれるころには,卵母細胞の減数分裂は第一減数分裂前期とよばれる時期で停止している。
成長するにつれて,卵巣の中の卵母細胞のうちのいくつかは発育を開始し,だんだんと大きくなる。
しかし,その間も卵母細胞はずっと第一減数分裂前期で休止したまま。
動物が大人になると,卵巣の中で発育を終えて大きくなった卵母細胞は,下垂体とよばれる器官から放出されるホルモンに反応して,永く休止していた減数分裂を再開する。
卵子の第一減数分裂が再開するのは排卵のとき。
すなわち何十年も停止していたものが再開するので、染色体が均等に分かれない(不分離)などの異常が起こりやすくなる。
減数分裂を再開した卵母細胞では,核の中の染色体は太く短くなり,核膜が消えて染色体がむき出しになる。
染色体は紡錘体と呼ばれる分裂装置によって2分され,半数の染色体は第1極体とよばれる小さな細胞として卵母細胞から放出される。
この段階で卵母細胞は卵巣から卵管へと放出されます。卵巣内で休止していた卵母細胞が減数分裂を再開して卵子になる過程のことを,卵母細胞の成熟と呼ぶ。
卵母細胞は,なぜこのように卵巣の中で永い間減数分裂を休止しているのか。
またどのような信号に反応して減数分裂を再開するのか。
卵巣の中ですでに発育しきった卵母細胞を,体外に取り出すと卵母細胞はホルモンの刺激がなくとも減数分裂を自然に再開することから,卵母細胞を取り囲んでいる顆粒膜細胞や卵胞の中に蓄えられた卵胞液の中に,卵母細胞の減数分裂を休止させる因子が存在すると考えられている。
そのうちの一つはヒポキサンチンという核酸の誘導体です。まだほかにもあるようだが,詳しい性質については現在もわかっていない。
からだの中で卵母細胞は,下垂体から放出されるホルモンの刺激によって減数分裂を再開。
ホルモンは卵母細胞を取り囲んでいる顆粒膜細胞にまず作用するが,その後顆粒膜細胞からどのような信号が卵母細胞に伝えられるのかについて,まだよくわかっていない。
まだ卵母細胞については解明されていない事が多いが、アウゲイアースの牛は卵胞を、その牛小屋は卵母細胞を、DNAヘラクレスが分けた二つの川は染色体で、紡錘体により流路が変わった。そして減数分裂が再開したことを伝えている。
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