ギリシャ神話 イーオーとロドプシン

ギリシャ神話に登場するイーオー
ゼウスの妻ヘーラーに仕える巫女であったが
ゼウスにみそめられ、交わる。
ヘーラーから隠すために、ゼウスはイーオーを
牝牛に変身させる。
ヘーラーは、わかっていて牝牛を自分のものとし
アルゴスという100目をもつ巨人に番をさせた。

ゼウスに頼まれた太陽神ヘリオースがアルゴスからイーオーを奪還。
イーオーは各地を彷徨いながらエジプトに到着し、人間に戻り、息子エパポスを生む。

さて、イーオーの父はイーアソス、曾祖父はアゲノールこのアゲノールはイーオーを隠すアルゴスの父。つまりイーオーとアルゴスは親戚。

この物語の象徴、牝牛。              何度か言ってきたが牛は視覚に関する隠語になっている。イーオーの話は、ゼウスの妻ヘーラーが松果体を指す事から、光受容体ロドプシンの物語である。

牝牛のイーオーを隠すアルゴスは、メラニン色素。100眼とはつまり身体中の皮膚にメラニン細胞がある様。 太陽神ヘリオースに殺された後、ヘーラーに孔雀の尾羽にされるが、メラニンの形状を象徴している。

メラニンはシミの原因だと毛嫌いされるが、有害な紫外線から皮膚を守り、核細胞を保護する重要な役割をもつ。

メラニン皮膚細胞にあるロドプシンの光を感じる能力がトリガーとなって、数時間内にメラニンの生成が行われる。これはDNAへのダメージを保護するために急いで行われる。   

長波長UVA光の方が短波長UVBよりもメラニン形成細胞でロドプシンを刺激するそうだ。

つまり、網膜だけでなく皮膚のメラニン形成細胞の中にもロドプシンは存在し、メラニン生成のスピードを早め、DNAへのダメージを抑えている。        

メラニン色素は、ある一定の光の波長に反応し、除去される。 

さて、解放されたイーオーは、ヘーラーが放った虻に追われ彷徨い、エジプトに到着して人間に戻り、子供を産む。

メラトニン細胞の中でUVA光がレチナールを持つロドプシン感覚器を刺激すると、数秒以内にカルシウム信号が誘発される。このカルシウム信号が虻。このカルシウム信号は、運動エネルギーへと変化する。そのため、彷徨う。

ロドプシンには、3つのタイプがあり、微生物型(運動型)、動物型(視覚型)、第三の型ヘリオロドプシンがある。最近発見されたヘリオロドプシンの名の由来が太陽神ヘリオースにあるのは、何とも神の導きとしか思えない。

ヘリオースの光刺激により、ロドプシンはカルシウム信号により運動性をもつにいたる。

人間にもどり子供を生む訳だが、これはロドプシンがタンパク質オプシンと色素レチナールに分解される事を意味する。

エジプトは腸上皮にあたる。

人間イーオーは連れ去られた息子を探し回る。レチナールの変化に注目したい。

レチナール

レチナールは腸内免疫細胞によりレチノイン酸にかわり、さらにビタミンAへと変化する。ビタミンAには体内に存在するものと、外部からβカロチンとして摂取するものがある。βカロチンは小腸の吸収上皮細胞で分解されビタミンAとなる。

エジプトに戻ったイーオーは、この地の王テーレゴノスと結婚した

イーオーはこの地にデーメーテールの像を建て、エジプト人はデーメーテールとイーオーをイーシス(豊穣の女神)と呼んだ。

デメーテールは腸の仕組みを象徴

腸管免疫

免疫細胞は骨髄の中で生まれて血液やリンパ液を通って全身を巡っているが、その免疫細胞の約70%は腸に存在している。

レチナールは腸内免疫細胞の働きでレチノイン酸となる。このレチノイン酸はTリンパ球の機能分化を制御し,免疫寛容の成立にも関与する。

ちなみに、この免疫獲得の過程が、ギリシャ神話のアルゴナウタイと言う大冒険の話となっている。




いいなと思ったら応援しよう!