![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171394798/rectangle_large_type_2_e7688d3ddd0b0089f0dd67debbd7217c.png?width=1200)
神話解体新書 古事記 黄泉国1
原文
於是、欲相見其妹伊邪那美命、追往黃泉國。爾自殿騰戸出向之時、伊邪那岐命語詔之「愛我那邇妹命、吾與汝所作之國、未作竟。故、可還。」爾伊邪那美命答白「悔哉、不速來、吾者爲黃泉戸喫。然、愛我那勢命那勢二字以音、下效此入來坐之事恐。故、欲還、且與黃泉神相論。莫視我。」如此白而還入其殿內之間、甚久難待、故、刺左之御美豆良三字以音、下效此湯津津間櫛之男柱一箇取闕而、燭一火入見之時、宇士多加禮許呂呂岐弖此十字以音、於頭者大雷居、於胸者火雷居、於腹者黑雷居、於陰者拆雷居、於左手者若雷居、於右手者土雷居、於左足者鳴雷居、於右足者伏雷居、幷八雷神成居。
伊邪那岐は伊邪那美に会いたいと思い、黄泉国に追いかけて行った。
騰戸の殿から出向かう時、伊邪那岐が語り告げる
「愛しい私の美しい人、貴女と興した国はまだ完成していない。還ってきて欲しい」
伊邪那美は答える「残念ですが、速く来ないので、私は黄泉の戸と契りを結んだ。しかし、愛しい我が那勢(音読み)、入って来て座すことが恐いなら、還りましょう。
黄泉神と相談します。私を見ないように」
そう言って黄泉殿に還り入っている間、たいへん久しぶりで待ち難い。左の御美豆良(音読み)に刺した湯津津間の櫛の男柱1つを取り闕いて、火を灯して入ってみた時、
宇士多加禮許呂呂岐弖(全て音読み)、
頭に大雷が居り、
胸に火雷が居り、
腹に黒雷が居り、
陰に拆雷が居り、
左手に若雷が居り、
右手に土雷が居り、
左足に鳴雷が居り、
右足に伏雷が居り、
併せて八雷神が成り居り。
伊邪那岐は騰戸の殿から入っていく。
騰戸は、戸隠山で近くに洞窟もある。
地下トンネルが存在していてもおかしくない。
後世近くの松代には地下壕が作られている。
湯津津間の櫛とは火打山。火打山は火山ではない、
西側に影火打峰があるが、伊邪那岐の灯した火に当たる。この山の下なら安全だろう。
伊邪那美が黄泉国の人になっていたとは、季節を見るのではなく、地底観測技術に変化していたことを示す。
地底観測に必要なのは、地球に影響を与える潮汐力。
断定できないが、恐らく
大雷は満月
火雷は太陽
黒雷は木星
拆雷は月の朔
若雷は火星
土雷は水星(土は豆知、天文の知恵)
鳴雷は金星(朝を告げる明けの明星)
伏雷は鉄(地球に引きつける力)
伊邪那美の姿は宇士多加禮許呂呂岐弖(うしたかれころろきて) 「潮高れ頃来て」。潮が高い時にやって来る。
また、弖(て)が重要な漢字となる。
弖は国字で訓しかない。弓に一。
弓から1引く。9から1引く。
これらの天体の周期計算は九進法で行われた。
9で数字を割ると、必ず循環小数となる。
割り切れず、途絶える事なく、同じ数字が並ぶ。
1÷9=0.11111111…
2÷9=0.22222…
9÷9=1
10÷9=1.11111…
こうして桁を変え、循環し続けるため、天体周期計算に誤差が無くなる。
非常に精度が高かった。
しかし、10進法計算に慣れた頭では混乱が生じた。
また、太陽と月以外は観測しづらいもの、見にくいもの(醜いもの)である。
黄泉国では天体観測に加えて、地底観測が発達していた。地震予知が行われていた。
また、硫黄が湧き出す場所と言う意味でもあろう(つまり近くに金もある)