天文学で読む古事記 火之迦具土神の罪

火之迦具土神を生んだ時に伊邪那美はホトを火傷して病に臥せる。

火之迦具土神は石川県と富山県県境の石動山を指す。
石動山は古名伊須流伎毘古。
伊は指極星、須は三角形(三角点になる)、流は竜、伎はわざ。
航海のコンパスになった。
この山は、日本海に海側からやって来る人々にとっての目印になってきた。高すぎる山は山容が把握しづらいので、小さな山の方が道標として適している。

火之迦具土、火之炫毘古、火之夜芸速男と三つの名をもつ。
火之夜芸速男とは、火の点滅速度が速い事を指す。
例えばゲンジ蛍の発光の点滅速度は、東西で違う。
関東型4秒、関西型2秒と言われる。気温差があるようだ。
また飛び回るオスの光は強いが、メスは飛ばず弱い光を草むらから発するだけ。
また求愛や威嚇などで光の種類が変化する。
光の明るさ、速さで送る内容が、変わる。
この原理を、海人族らは利用した。


冬の日本海潟は、北方海人族の拠点であった。夜空から蠍座が消える初冬に到来する北方オホーツク海人族。
シベリアから来る冬の渡り鳥と共に、鯨を追ってやってきた。
逆に春に暑い国から鯨を追ってやってくるのが南方海人族。
彼らは、東シナ海から対馬海流に乗って西日本の日本海一帯を活動拠点とした。
彼らが能登半島竜岬に流れてくるのは、必然。
羽咋から七尾の邑知潟を通り、能登半島東側に到達し、石動山に拠点をおいた。

時期が違う為、出逢うことはないがここを中心とした交易が活発になっていく。反対側はウラジオストックストック。
能登とウラジオストックが二つの勢力の循環路をつくっていた。

能登からウラジオストックへ向かう大交易港であった。
後の渤海航路である。

たくさんの船が出入りするようになって、管理が難しくなってきた時に、ある発明がなされた。
火の光の色を変えて、信号にする。
色は様々な物質を加えて変化する。
火薬の原料、硝石の発明が歴史を決定的に変えた。

火之炫毘古は、火の輝きが眩しいこと。
チカチカする火。
火之夜芸速男は、点滅速度。
火之迦具土神は、嗅ぐ土にかけられている。
土の匂いを嗅いで物質を見分ける。その役割が誕生した。

その文化を生み出して、伊邪那美はホトを焼き、病となり、吐き出したものから、金山毘古、金山毘売を
屎から波邇夜須毘古、波邇夜須毘売を
尿から弥都波能売を生み出す。
さらに和久産巣日神を、この神から豊宇気毘売が生まれた。

まず、火薬の原料は、天然硝石。人工的なものは、糞尿と灰汁を混ぜて生成される。
基本的に乾燥した土地で天然石として産出される。
人工的なものは、トイレに蓄積される。
伊邪那美の吐瀉物、尿、糞全て硝石の作り方になっている。
また、漢字はその原料の調達場所を示す。

金山毘古は温泉地を、金山毘売は灰(草木を燃やしてできる)を指す。温泉と金は後に結びつくが、この時はまだ、アルカリ鉱泉で、硝石の作成時に必要な成分をたくさん含む草木が取れる場所、の意味あいである。
最初は金が目当てではなかった。温泉場には硫黄の匂いが立ち込める。だから「嗅ぐ」にかけられる。

波邇夜須毘古、波邇夜須毘売は、天然硝石の産出地とその文化。
乾燥した土地、波邇、夜須から推測されるのは西域である。波邇はトカラ文字。夜須(よる、待つ)は通夜を指す。葬式儀礼が持ち込まれた。
伊邪那美の「美蕃登炙かえて」。
吐蕃の矢(ルート)を変えた、とも読み取れる。

また、伊邪那美のホトという大事な部分と西域の繋がり。
Y遺伝子ハプロDグループが日本とチベットに集中する理由にはならないだろうか。
文化を生み出す場所が、日本と西域にあったと感じる。

硝石は、シュメールでは楔形文字(紀元前2200-2100年)の形で存在が確認されている。
シュメール人はどこからやってきたか不明の民族だが、星図の起源はシュメールにあると言われる。

話を元に戻す。
和久産巣日神は、和九の原理。
18  27  36  45  54  63  72  81
すべて、和が9になる。9の倍数でもある。
9の掛け算は、全ての桁を足して一桁にした時、9になる。9が最小単位になる。

こうして、和久が誕生して生まれたのが豊宇気毘売。
沢山の宇宙のエネルギーを表現した、渦である。
循環数学つまり易学が誕生した。




対馬は釜山と福岡を結ぶだけでなく、日本海をどっちに進むかの、重要な渡し守となる。運命の鍵を握る場所。
日本海は、東シナ海とオホーツク海の水が混じり合う湖のような海。暖流と寒流が季節によって複雑に混じりあい、流れを変える。古代、鯨海とも言われた。

鯨は古名「イサナ」
伊邪那岐、伊邪那美の名前も、鯨にかけられている。
特に伊邪那美の美は文身を指すと思われ、魏志倭人伝にある鯨面と繋がる。




後の話になるが、西域の情勢が不安定になる時代に亡命ルートとなっていく。
彼らは、密教と鉱山開発とを持ちこんだ。
これは、石動山に絡む伏線の話。

古代には、中央アルプス一帯の噴火活動の活発化により交易が一時中断した。火山灰の為、星を見失ったせいもあるが、北極星がこと座ベガから移動したことも原因だと思われる。
北極星としてのベガ(伊邪那美)は、その役割を終えた。


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