ギリシャ神話 ヘラクレスの冒険 地獄の番犬ケルベロスとカテコールアミン
ケルベロスはオルトロスの兄貴分であり、3つの頭を持つ犬の化け物。
ヘーラクレースは冥界に入ってハーデースから「傷つけたり殺したりしない」という条件で許可をもらい、ケルベロスを生け捕りにした。
その際、ペルセポネーを略奪しようとして「忘却の椅子」に捕らわれていたテーセウスとペイトリオスを助け出した。
また、地上に引きずり出されたケルベロスは太陽の光を浴びた時、狂乱して涎を垂らした。その涎から毒草のトリカブトが生まれたという。
テセウスは、血圧を上げる機能をもつレニン。
その盟友ペイトリオスは、アンギオテンシン。
血圧上昇に働くレニン・アンギオテンシ系という固い絆をもつ二人。
この二人は、ペルセポネーを誘拐するのに失敗し、冥界(大脳)に捕われていた。
腎臓から分泌されるレニンだが、実はレニン・アンジオテンシン系(RAS)は脳内にも存在する。
レニンには,分泌型レニンと細胞内レニン(細胞外に分泌されず細胞内に留まる)のアイソフォームがあり,脳内では細胞内レニンが優位に発現する.
細胞内レニンノックアウトにより,交感神経活性化を伴って血圧は上昇。
さらには脳内の分泌型レニンの増加を介して脳内RASが亢進。
細胞内レニンは脳内において分泌型レニン発現に対して抑制的に働き,下流のアンジオテンシン産生を抑制することで,脳内RASという中枢性循環・代謝調節機構を制御している。
つまり脳内でレニン・アンギオテンシン(テセウス、ペイトリオス)は、すっかり役目を忘れていた(忘却の椅子)
また、レニンアンギオテンシ系が、アルツハイマーなど記憶の低下に関わる事も表している。
ペルセポネーは冥府王ハーデースの妻。何故誘拐されそうになったか。
ペルセポネーは大脳の感覚野を指し、感覚情報の処理がなされる。
つまり血圧に関する情報と関わるため、結びつく。
血圧は自律神経系と内分泌系により調整される。
ケルベロスは三つの頭をもつ地獄の番犬、
つまり物質の通過を制限する機構。
血液脳関門。
血液脳関門には物質通過に3つの様式がある。
この為、ケルベロスは3つの頭をもつ。
さて、ケルベロスの出自のおさらい。
母はエキドナ、父はテュポーン。
たくさんの怪物を生んだ。
エキドナはイオンチャネル、テュポーンは輸送体。
つまり細胞内外の物質の出入りを象徴。
これらは、様々な特性をもち、それが子供達。
ケルベロスもその1人。
オルトロスとケルベロスが犬として描かれるのは、
芳香族アミノ酸など匂いと関係があるため。
このアミノ酸を運ぶ輸送体。
芳香族アミノ酸ーベンゼン環をもつ。
フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンがある。
これらのアミノ酸は、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質の原料。
そのうち、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンはカテコールアミンに分類され、血圧上昇にも関わる。
テセウスーケルベロスが示すのは、血圧上昇システム。
ケルベロスの垂らした涎から、毒草トリカブトが生じるが、この毒性はアルカロイド。
アルカロイドの前駆体は、アミノ酸であるフェニルアラニンやトリプトファン、チロシンなどである。
輸送系T(system T)は、Na^+-非依存的に芳香族アミノ酸を輸送するアミノ酸輸送系であり、芳香族アミノ酸及び類似薬物の上皮輸送における血管側への出口として機能している。
ケルベロスは、脳から血液中に、カテコールアミン(芳香族アミノ酸由来)を放出するシステムになっており、この機能獲得の話がこの冒険の意味である。
つまり、ケルベロスは芳香族アミノ酸に特異的に反応する輸送システムといえる。
そして、脳から全身へと作用する場合、血圧上昇にかかわるといえる。
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