延長線上のリアル
先週は少々ネガティブな事が続いていたが、週末に不思議と良い知らせがいくつか届いた。その中でもこの話は、少し私のことを担いでいるのではないかと不安になる程に良い話で、これは人生でも忘れられないエピソードになったと思う。
半年前にゲームコミュニティ上で行っている相談室にいらっしゃった人が、たまたまオンライン状態の私を見つけて近状報告にと話かけてくれた。それだけでも奇跡的でありがたい事なのだが、ゲーム内の人間関係だけなく、リアルにも影響があり非常に前向きな努力を重ねて劇的な改善があったという。正直、この方を良く覚えてはいなかったのだが会話に特徴がある方だったので徐々に思い出すことができた。
「つきかぜさんに相談をしたという体験がほんとうに大きかったです」
近状報告のまとめにそう言ってもらえて嬉しかったこともあるが、私自身にその視点はなかったために新しい発見にもなった。行為そのものが彼には必要だったのだろう。
この人はうまく外部ソースを利用することが出来なくて、人間関係やリアル生活においても悩みになるタイプだったように見受けられた。それが私に相談をしたことで「聞いてもらえる」成功体験を得ることができた結果、他人を頼ってみることや、相談が出来るようになったようだ。ゲーム上はともかく、リアル人生や生活に影響がある相談は相手を選ぶ必要があり、可能であればネット上のソースや自己啓発本ではなく、まともな専門家を頼って欲しいとも伝えた記憶が確かにある。
確かに言った。そしてゲーム内のお遊びとも思われるような相談室のことを真面目に聞いてくれることはないと、自分自身の言葉を信用していなかったことを大変恥じてしまう。
実際言われたとおりに、彼は本当に各専門家に対価を払い、アドバイスをうけてダイエットを行ったり(無理なく順調に減量中)、生活環境を改善するためにコーチをしてもらいながら、さらには中退してしまった大学課程への編入を果たしていた。この半年の間で、無論働きながらだ。さらに卒業単位も取得できたとのことで次は国立の院試に挑戦する予定だという。辛そうな様子はなく、携わっている仕事に関係がある学問なので楽しみだとも言っていた。努力の最中ならばわかるが、この半年でこれだけの結果を出したことになる。マジで?基礎能力高すぎる、私のほうがこの人に相談するべきじゃないのか。そして「ほんとに…言ったとおりにやるやつがあるか…(感涙)」とひとりモニタの前で震える事案が発生することになった。
私はイベントや文章類を愚鈍なまでに他人にはいいように利用をされても、自分自身は一切の対価を得てはいない。それはタイトルに限定しないこれらコミュニティに対する恩送りの一環でもあるためなので、他人の図太い行動に草を生やしつつも、それ自体は気にとめていない。承認欲求マシマシの自己満偽善者等、いろいろと言われることがあるけど笑いながら「そうだねどうでもいいね」と言える。見返りも得もないのに、何かのためにリソースを割く理由は「他人をコントロールをするため」「ステータスや地位のため」という強固な信仰で構成されている人達なのだろう。
同じ趣味を持った世界のどこかにいる、ちょっと不器用な生き方に悩む人が、前を向いて結果を出すことが出来ているのだからそんなことはほんとうに些細なことである。たったひとりでも幸せに生きるための助けになったのなら、私の費やした数百時間は有意義なものだ。嬉しいという言葉を迷うことなく、感情に結びつけるならばまさにこのことだなと思う。
彼は「また問題があったら持って来ますね!」と爽やかに去っていた。いや無理に作って持ってこなくていいんだよと笑ってしまったが、もし次会うことがあれば是非話を聞きたいものである。
オンラインにおける匿名性は時に卑怯で無責任だ。しかし利害関係もなく扱う言葉と趣味が同じである事くらいしか共通点のない緩い匿名性によって、やっと他人へ心のうちを明かせる人達は実際に存在する。一部の人達からみたら不可解且つ、簡単なことに聞こえるかもしれないが「この瞬間、そして安全な関係性が守られるこの空間だから話すことができる」人達の世界があることを少しだけ認知していただけたら嬉しく思う。
やっぱり一期一会という考え方も言葉も、私は好きだな。
ほんとうに、最近は毎日が冒険だ。