大切な事はゲームで学んだ
ゲームが大好きだ。勿論今も。
両親は特にゲームに興味無かったが、特段禁止する事もなくやり過ぎには注意しろと言うくらいだった。
始まりは小学校入学祝いに祖母がスーパーファミコンを買ってくれた時の事。
ドラゴンクエスト1&2とかまいたちの夜
私はすぐ夢中になった。
かまいたちの夜に。
祖母に読めない漢字を読んでもらいながら幼いながらに懸命に物語を理解しようとしていた。
そして物語が佳境に入り、
主人公はヒロインにスキーストックで殺された。
6歳のガキンチョには何が起きたか分からなかった。ホワッツ???赤い画面に『終』の文字。ショック過ぎてかまいたちの夜はそれ以来封印されたが、数年単位でチュンソフトの呪縛に苦しむ事になる。
それから2年。居間でドラクエ2のロンダルギアの洞窟に苦しんでいると祖母が『あのかまいたちの何とかはやらないの?』と言った。
「真理に殺されたからやらん」
「じゃあ婆ちゃんとやろう。婆ちゃんもいるから」
私は渋々かまいたちの夜を起動し、祖母は隣でニコニコ笑いながらそれを見ていた。
スキー場からペンションに移動し、美味そうな夕食のシーンに見入っていると祖母が「あの田中って人怪しいね」と言ってきた。そんなん分かっとるがなと話を進めると美樹本が遅れて現れ、『こんや、12じ、誰かが死ぬ』で田中の部屋で死体が出た。
祖母は変わらずニコニコしながら画面を見ていた。私はどうせ真理に殺されるんだろうなと半ば諦めながら進めていると犯人の名前を入力する強制鬼畜イベントが始まった。小学生には無理だろこれ。
すると祖母が「犯人は『田中』って入れてみな」と言った。
マジかよ田中死んでんぞ。と思いながら入力する。そしたら明らかに前と展開が違う。
えっ何これ。トリックとか全然出なかったやん。
「トリックは雪だよ」
すげぇ当たった。すげぇ婆ちゃんすげぇ。
美樹本がゲロった。やっぱな。怪しいと思ったんだよお前この野郎お前。
なんやかんやで、スタッフロールが流れ始める。すげー!初めて見た!ペンション実在すんのすげー!(15年後泊まる事になる)
達成感と感動でアイスがぐちゃぐちゃに溶けてるのも気づかなかった。
「面白かったねぇ」
祖母は変わらずニコニコしながら画面を見ていた。
実は祖母が我孫子武丸の大ファンだったのだと、知ったのはだいぶ後だった。