「愛する眼差しとアンチの目」宣伝マンとして10の矜持を書く
生きているとたまに自分の歩んできた経験を残したくなる瞬間がある。
誰でも発信者になれる時代。昭和や平成初期とは環境が全く異なる。下手くそな字じゃなくて誰にでも読める状態で残せるのは素晴らしい。
自分が伝えたい、書きたいと思ったことはアウトプットした方がいい。そんな時代だ。
今朝起きた時からたまには真面目なことを書きたいと自分の胸が高鳴った。いや、ざわついたか?
胸の高鳴りって表現は色恋沙汰っぽいな。そんなことはさておき。自分の仕事、好きなことでちょっと書いていきたい。
テーマはタイトル通り宣伝マンとしての10の矜持。端的にいうと大切にしていることだ。これを全10回で連載していく。自分で勝手に連載を作る。そんなスタンスもアリじゃないかしら。
色んな仕事をして色んな人を見て、色んな業界を見てきた。成果を出した仕事もあれば全然通用しなかったってこともある。山ほどある。
失敗話はどこかでするとして、今回は直近で行なっている宣伝のお仕事について書く。
宣伝のお仕事に興味がある方、広報など実際に携わられている方。
なんとなくたどり着いた方。それぞれの人に楽しく読んでもらえると嬉しい。
1.宣伝対象との向き合い方
宣伝対象(作品でも会社でも人でも)とどう向き合うか。この姿勢で準備の質が大きく変わる。準備が甘いのはダメだ。甘い方がいいのはスイーツだけ。
自分が担当する作品を深く愛し、朝から晩まで考える一方で、冷静な目で見る必要がある。
例えるならば、好きな女の子に料理を振る舞う感じだろうか。美味しいって言ってもらうためにあの手この手を使って味付けする...ちょっと違うな。これじゃ誰にも何も伝わらない。最初の1からこれではこのテキストすら途中で読まれなくなりそうだ。
冷静な目を分かりやすく言えば「アンチ」の目だ。特定の対象が嫌いでしょうがない。これは裏を返せば気になっているということ。そうすると、宣伝対象の隠したい場所、磨かなければならない箇所が浮き彫りになる。
宣伝とはお化粧。ハイライトも入れれば、気になるところをファンデーションで隠しもする。リップだって可愛い色を選ぶ。あら今日も可愛くできたわ。
宣伝対象が市場に出た時の輪郭を作り上げるのが宣伝マンの仕事である。
関係者の方が頑張って、熱意を込めて、心で沢山叫んで生まれた作品(宣伝対象)が世に出る。表に出るタイミングを担う責任者だ。いや、責任者的な存在だ!
役職はどうあれ、心でどう思うかは個人の自由である。背負う気概は素敵だけど気負っちゃダメだぞう。
お化粧について少し補足する。
ここで隠すというのは、見えないようにするのではなく、魅せ方を変えるという意味を指す。
株式会社刀の森岡毅さんが2021年11月に放送された「日曜日の初耳学」でこう仰っている。
「短所は決して長所になりません」。
魅せ方を変えて武器にすることはできるが、そもそももっといい条件があればそっちで戦った方が勝率は高いのだ。
冷静に見極めつつ情熱的に伝える
宣伝対象の長所をガツンと伝える。ココがこの宣伝対象のストロングポイントです!とデカデカとバキバキに分かりやすくする。
「ウチの歯磨き粉は歯がメチャクチャ白くなります!」、「ウチのメロンパンはマジでメロンパン!」みたいな。
ただ、長所をプッシュする一方で、短所についても目を配らなければならない。何だったらそのポイントを宣伝対象に反映させてて、マイナスをゼロに近づけるのも仕事だ。
試合を冷静に見つめる元中日ドラゴンズ監督・落合博満さんのように。冷たい目で状況を見極める。そんな感じ。新庄剛志さん!BIGBOSS就任おめでとう。
ちょっと話がずれてしまったが、今、自分が宣伝を担当している対象は、どんな印象を持たれているのかを冷静に見極めつつ情熱的に伝える。これが宣伝マンとして僕が大切にしている矜持だ。
この話を最初に書いたのには理由がある。
宣伝対象を最初から好きで好きで...ってなると取り返しが付かない。これを僕は酔っ払ってると喩えている。視点は定まっていても、表面しか視ていない。
ヒトは粗探しが得意だけれど、見つけるのは粗じゃなくて武器になり得る短所だ。だから、冷静に見つめる目が必要なのだ。
宣伝対象の裏側に隠れている長所(短所)や魅力まで全部見なくてはいけない。裏側って何かって?それは今の市場である。
他の作品はどんなものが流行っているか。勝手にラブワゴンに乗ってネタの相乗りはできるか?
流れと空気がハマって、本能にぶっ刺さればそのコンテンツは跳ねる。
この状況に持っていきたいとキムチチャーハンを食べながら願いつつ、頭の回転が調子いい時に全力で考えて、バタバタと走り回ったり、色んなコミュニケーションツールを使って連絡したり、ときどき一杯引っ掛けたりするのが僕の仕事だ。
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