フリーランスを約3年続けてみた感想
2020年1月11日、36歳の誕生日を迎えた。36歳。自分が40歳に近づいたことに不安と期待を持ちつつ、今の考えをまとめておきたい。
今回はフリーランスという働き方について。僕の周りを見ても特定の企業に属さないフリーランスの人が増えた印象を受ける。
時間に縛られない生き方。務め人時代以上の収入。色々なプロジェクトに自由に参加できる働き方。興味がある人も多いだろう。
ハッキリ言って僕はオススメしない。“復業”であればいいのだが、相談を受けた場合にフリーランスを勧めることはほぼない。考えてみれば分かるが、SNSなどで目立っている人たちはほんの一握りだ。
仕事を請けるだけでも大変で、仕事をこなすだけでも一苦労。独立しすぎると安定感がなさ過ぎてとにかくキツい。
敢えてこの働き方をススメるのであれば、既に定期で契約を結んでくれるクライアントがいる状況にある人のみ。
最低でも2社(これは企業との直接契約でもいいし、広告収入などでも構わない)。これが絶対条件。さらにサラリーマン時代の月給かそれ以上をその2社で賄っている状態を、“独立前”に作っていない場合、絶対に推奨できない。
人間、金じゃないと言いつつ人はお金がないと鬱になり不幸な結果を招くことにもなる。
ここからは好きなことで働くことについてもまとめていく。
守破離
好きなことで働く。素敵な言葉だし、今っぽい価値観のように思う。ただ、好きなことをして“稼ぐ”が言葉して正しいのである。
20代の前半、僕は好きなこと、興味関心のあることに注視し仕事をしてきた。何も考えていなかった、が正しいとも言えるが。
そんな考え方が矯正されたのが、2011年から在職したキャリアデザインセンターである。
僕はここで求人広告の制作と編集について学んだ。今役に立っているスキルの基礎や応用をここで身に付けたと言ってもいいだろう。
守破離。ここで僕は守破までは持っていくことができたと感じている。
少しだけ例を挙げると、企画の作り方や考え方、更には傾聴する姿勢などがこの時期に身に付けたものになる。
クライアントの要望を聞いて、具現化するために必要なエッセンスを抽出し形にする。シンプルなことだが、この繰り返しを継続する内に地力が付いてくる。
また編集力は企画力にも直結する。師匠からご指導ご鞭撻いただいたことで、この点も強い武器になった。
ただ、一つやっていなかったことがある。それがネックだった。
営業力
営業経験がない人間はフリーランスとなった時に高い確率で苦戦を強いられると思う。仕事を取ってくるというスキルと仕事を取った後にモノを作ったり、運用するスキルは別ものなのだ。
僕自身、フリーランスになった直接後は企業によく提案活動を行なっていた。
それこそ繋がりで訪問するのだがらアポイントは取れる。ただ、先方から発注したいという前提のお打ち合わせ以外で発注いただいたことは無かった。“一度も”だ。
友人から提案が欲しいと言われて訪問し、熱く語った後、返信がないのが日常茶飯事だ。
これは中々にダメージが大きい。自分と仕事を切り分けなければならないのだが、個人でやっている分割り切れないことの方が多い。友人からコイツには発注できないとなると、心にグサッと来るほどのショックを受けてしまう。立ち直るのだって簡単じゃない。
また、評価者もいない。メンターやコーチングを謳っている同業フリーランスの方もいるだろうが、よほど実績がある方以外宛にしない方がいい。仕事を持っていることと、仕事のスキルは別だったりもするのだ。
営業の方は大変な仕事をしている。このスキルが無ければ、継続的に食っていくことができない。当たり前のようだが独立した後に気付くことも多い。自分はあの時売れていなかった営業さん以下の営業力しかないことに。
営業力がない。であれば、別の強みでカバーする必要がある。例えば、広い人間関係と誰が見ても分かりやすい実績。これもない場合、仕事を請けるのは中々に苦戦するものだ。
新しいクライアントに自分を売り込みつつ、今のお客様の仕事も並行して行う。二刀流と言ってしまえば聞こえはいいが、ただただキツい時の方が多いのである。そして、最後はこれだ。
人間関係
フリーランスになると人間関係のバランスが大きく変わる。配偶者がいる場合はまだいいのだが、独り身の場合はとにかく孤独と向き合う日々が増える。
どこかのオフィスを間借りしたりしていない場合は、自宅で1人の日々が当たり前になるのだ。
チャットでつながっていても対面では1人。
誰ともつながっていない。そんな毎日は心を塞いでいく。
冒頭で独立前から2社必要だと書いたのはこのことだ。働き方は個人でもどこかのコミュニティに所属していないと、どんどん闇が深まっていくのだ。
また、同じことばかりで稼ぐこともオススメできないし、考えて仕事を請けなければならない。
考えて実行しなければ上達しないが、レビューや教育してくれる存在がいなければ、成長もない。
会社と違って自分への教育コストも自分で賄わなければならない。営業しつつ、作りつつ、だ。
どうだろう。ここまで読んでみてフリーランスになりたいと思うだろうか。
何となくは罪だと知る
なんで僕がこんなにもフリーランスについて否定的な言葉を書くのかといえば、推奨している記事は山ほどあるが、こうした現実について書いたものはあまり見なかったためだ。
イケ!イケ!と旗を振る割にリスクや本当に辛いことを書いているものはあまり見ない。それもそのはず、辛い時に辛いと書くことはストレスが半端じゃないのだ。だからコンテンツがあまり世に出ていないのだろう。
僕はフリーランスになって3年が経とうとしている。今、お金をいただいている企業は大きく4社。時折りいただく会社が1社。これがほぼ限界だし、これ以上働くと色んなところに綻びが出る。
ミーティングだけ出て、アイデアを出し名前を貸すような契約が増えれば後数社はいける気もするが、中々そんな美味しい仕事は存在しない。※そういう人たちに集中しているとも言える
何となくフリーランスになりたいというあなたは必ず立ち止まって考えた方がいい。今の僕から見れば、会社勤めの方が明らかに魅力的に見えている。
最後に。ここまで色々と書いたが、フリーランスになる目的がある人は別だ。
家族との時間を大切したい方や既に環境が整っている方は独立して問題ないと思っている。目的(夢)を叶えるための選択としてフリーランスは決して悪いものではない。
36歳。自分らしく生きるために僕はまた火曜日から働きたいと思う。