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「『飢え』を作るための点を打ち、発信する」宣伝マンとして10の矜持を書く

小さい頃から「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が好きだった。

1983年公開(僕よりも年上)。制作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。主人公が過去にタイムスリップし、過去の問題を解決することで、未来が大きく変わるSF映画だ。

この映画が素晴らしいのは、コメディを主軸にしつつ、感動やドキドキなど色々な感情を抱かせる点にある。

主人公のマーティ・マックフライはどんな状況でも「腰抜け」と呼ばれたらブチ切れる。瞬間湯沸かし器並みに速攻でキレる。

これくらいのスピードでお風呂が沸く時代が到来して欲しいくらいの速さで怒髪天を突く。

ところ構わず、ブチ切れるものだから、視聴者側が「そんな場合じゃないだろ!」とツッコんでしまう。

僕がお仕事中に割とキレやすいのは、ここが影響しているのかもしれない。

自分の中で許せない何か。その隣にあるのが自分の中にある前向きな信念だ。

全てはパラドックスであり、マグリッド(ルネ・マグリット)の絵だ。

哲学や美学というとカッコよすぎるが、誰しもが自分の心にある踏み絵を2つ(それ以上あるはず)隠し持っている。

その柔らかくてふわふわとしている“何か”を前向きに刺激するのが、宣伝の仕事なのかもしれない。

2.前向きな刺激を考える

今でこそTwitterなどで好き勝手に自分の考えを発信(発散)させる時代になったが、昔はそうではなかった。

少なくとも20年前はそんな自分の中にしかないフラストレーションを暴走行為などで発散させていた。

フラストレーション。不平不満。自分のことを誰も分かってくれないのではないか。

そんなネガティブな気持ちにそっと寄り添う。まるで自分の気持ちを代弁するような曲を歌ってくれるカリスマたちの存在があった。

「最後のコインに祈りを込めてミッドナイトDJ」

「盗んだバイクで走り出す!」

「勇次!あの時の!!!」

歌を聴いて泣いたり、盛り上がったり。

心を前向きに刺激したり、包み込んだりしているのがアーティストやアイドル、作品である。

アウトプットである「音楽(作品)」。この作品が生まれるまでの「ストーリー」。そして、制作者や演者の人間性。

この全てが組み合わさって、彼ら彼女ら作品を支持するファンが生まれるのである。

カリスマの時代

いきなりパン!と出てきて、ドカンと売れる。これが理想なのだが、そうも簡単にいかない

流れは努力で作れても本人たちの力だけでは、(売れる)空気を作れないためだ。空気は時代にハマらなくてはならない。

「逆に新しい」は一周回ってアリだが、時代に乗っている訳でないのである。

特に冬の時代を過ごしたファンはファン以上の存在になる。これは新しいファンを生み出す上でとても重要な役割を担うためだ。

人それぞれのアーティストやアイドル、作品に対しての思い入れがある。

そんなアーティストやアイドル、クリエイターを支持するファンを“ファンというお金を出してくれる存在の何か”だと勘違してはいないだろうか。

彼らは既に全員が発信者だ。彼らが新しいファンを生み出す一番の力を持った存在である。

彼らとIPのつながりが一つひとつの物語になって、新しくファンになる多くの人々の本能を前向きに刺激するのだ。

ファンは同じ時代に生きて、同じ景色を見て、同じ方向を見ている同志である。

彼らの日常を明るくするのがエンターテイメントの役割。彼らと一緒に物語を紡ぐのが宣伝の役割なのだ。

新しいファンも一日経てば既存のファン。そこに敷居はないし、長くファンで居続けるような作品を作り続けること、届けることが大切である。

同じ「飢え」を共有する

2020年以降、特に生き様を安く提供する時代になった。

活字や音声であれば想像の余地があるが、動画は情報量が多すぎで、イマジネーションを刺激しない。

完結したメッセージだけを受け取り過ぎていると...飽きてしまう。

最初は新鮮だったものが当たり前になる。好きなものばかり食べられないのと同じで、情報の質にもこだわる必要があるのだ。

ファンは満足させる存在ではなく、一緒に目標を持って「飢えている」存在であるべき。

それぞれの「あの頃」が最強なのはどこかで満足してしまったからなのだ。

新しい「飢え」を作るための点を打ち、発信する。

もっと楽しませてくれ。その期待に制作者と共に答える。

例えるならば、お弁当箱の包み紙を作ったり、売り場の魅せ方を考えて、売り子までやるのが宣伝マンの仕事なのだ。

ドク「1.21ジゴワットだって?!」

マーティ「ジゴワットって一体何なの?」

ジゴワットなんて単語は存在しない。脚本のミスでギガワットがジゴワットになってしまった。

こんなズッコケエピソードも時間が経てば美談になるのだ。

また、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の撮影時には続編を作るつもりはなかったが、ソフト化された際にラストにお遊びで“TO BE CONTINUED”と入れたところ大反響となり、続編の制作が決定している。

これが「飢え」だ。

パート1はこちら

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