【海外旅行記】早朝のテヘランで絶望したけどなんとかなった話
テヘランへ向かう深夜のバスの中で絶望していた。
財布とパスポートともに旅行中の三種の神器と呼ばれるケータイが、私の手の中で凍り付いたように動かなくなったのである。
その真っ暗な画面は、すっぴんで眼鏡の私の顔を映したまま何も言わない。光らない。鳴らない。
充電はされていたはず。全ての宿の予約はオンライン上で行ったし、航空券のチケットはEメールに添付されていたし、翻訳アプリも入れていたし、地図もダウンロードしてあったし、現地の友達や日本の家族とのやりとりにもケータイが必要なのに……。
ケータイが動かなくなったとたん、ものすごい不安に襲われた。いつの間にかケータイに強く依存している自分が情けなかったが、日本に帰れないかも、と思い混乱した。
「まだ旅程は二週間以上あるのに・・・。」どうしようもない不安とバスに揺られて、浅い眠りに落ちた。
(絶望する前に、相棒が最後の力を振り絞って撮ったバスの様子。広くて、空いていて、旅の調子は超いい感じだった。この時までは。)
あたりが明るくなったころ、他の乗客に「ここがテヘランだ」と起こされ、降ろされた場所は、人通りのない広場。早朝5時。
たった一台だけ停まっていたタクシーからおじいちゃんが降りてきて、ニコニコ近づいてくる。そして私のキャリーケースを無理やり奪い、タクシーの後ろに積んでしまった。その後に「どこ???」と聞くので宿の名前を告げるが、バックパッカー向けのホステルだったため伝わらない。ケータイを指さしながら「マップ?」と言われるが、ケータイが死んでいるためなにもわからない。
おじいさんも私も困り果てたが、「とりあえず行こう!」的なノリで、行き先もわからないのにも関わらずなぜか出発した。なぜか。
人通りが少ない朝のテヘランを飛ばしながら、人がいたら捕まえて、場所を聞いて、捕まえて、場所を聞いて・・・何度繰り返しただろうか。30分ほどたって、車が止まった脇にはそのホステルのドアがあった。
イランのタクシー相場からはかなり離れた運賃を請求されたが、それに上乗せして払い、それでも感謝の気持ちを伝えきれずに、持っていたバナナとジュースも渡した。
なお、タクシーのおじいちゃんは英語がほぼ話せなかったため、以上のやり取りはジェスチャーとペルシア語文法にアラビア語の単語をぶち込んだものである。
こんな不安な気持ちを抱えて朝のテヘランをさまようのは、これで最後にしたい。
(泊まった宿の様子。嘘。翌日見学したゴレスタン宮殿内部の様子。ホステルに着いた瞬間は、あまりにも感動してこのぐらい煌めいて見えた。)
ちなみに、私が宿泊したのはコチラ。
地球の歩き方には載っていないけれど、新しくておしゃれでスタッフも親切で、立地も良いのでおススメです。