Fediverseは諸行無常
2022年度の目標に、「1ヶ月に1回随筆を書く」を掲げた僕は、有言実行、2023年2月に「FediverseとMisskeyの風に乗って(回顧録)」という記事を書いた。
この記事で、僕は、XことTwitterからMastodonやMisskeyといったFediverseへの移行の経緯を書いている。
それから10ヶ月、Fediverseでもいろいろな動きがあったので、振り返っていきたい。
2023年3月頃:Calckey.jpに登録
Misskeyのフォーク「Calckey」なるものがあるらしい、と知り、好奇心からCalckey.jpに登録。
Calckey.jpは2023年2月25日ごろに建てられたと思われ、割と初期の方に登録したようである。
Calckey.jpは後に、骨をモチーフにしたキャラクター「ぼんちゃん」の故郷となる。骨をモチーフにしたのは、「Calckey」の「Ca(カルシウム)」から。
自分のサーバーを除けば、今年はCalckey.jpの年だった、と言っても過言ではないほど、Calckey.jpにはお世話になった。
2023年4月頃:Misskey.ioでの差別問題とCalckeyへの移行
2023年4月下旬、僕がMisskey系で最初に登録したサーバー「Misskey.io」で、性的マイノリティへの差別に関する問題が発生。
簡単に説明すると、Misskey.ioで、性的マイノリティに関連するワードを含む投稿をフィルターするようになっており、後に運営が説明したのだが、その説明が問題のあるものだった、というものである。
運営の説明によると、ワードフィルターは「性的マイノリティへの攻撃を防ぐため」だったという。モデレーションとしてどうなのかは何とも言えないが、その後のMisskeyメイン開発者の「これだからLGBTQ+はめんどくさいと思われる」旨の投稿もあり、「結果としてマイノリティを排除するようなメッセージを発していることになるのではないか」と感じた僕は、MisskeyからCalckeyへの移行を決め、自鯖もCalckeyで建て直した。
※Misskeyメイン開発者は、後にこの発言に対する弁明を行っている。
2023年6月頃:科学サーバー「Aurora Planet」を建てる
XことTwitter(僕はペケッターと呼んでいる)には、ある程度の規模の「科学界隈」がある。その道の専門家、学生、その他科学好きなユーザーが、数学、物理、化学、生物、地学などについて、活発に情報を交換したり、日常をつぶやいたりしている。
「科学界隈」では、面白い研究の情報を得ることもでき、有意義な面がある一方、界隈の一部では、人種差別、LGBTQ+に対する差別、その他様々な差別が共有されることもある。他にも、界隈によっては、同じような背景を持つユーザーだけで固まっている場合もあり、様々な背景のユーザーが「科学」という共通項のもと、安心して集まるのは難しいのではないか、と感じることも少なくなかった。(もちろん、僕の体感)
さらに言えば、科学界隈に限らず、日常的なやり取りを含む情報交換の場が、一つの企業によって管理されていると、その企業の方針によって、ユーザーが振り回されるのではないか、という懸念もあった。
そのような思いから、建てたサーバーが「Aurora Planet」である。
「Aurora Planet」の対象は、科学好きな日本語話者を想定している。(英語圏では同様のサーバーが大量にあるため。)
緑色のオーロラは、惑星に酸素がある証拠である。そして、地球上には多種多様な生物が存在する。
その生物のように、様々なバックグラウンドのユーザーが、科学に親しみ、楽しむことを目指す。
「Aurora Planet」というサーバー名はこうした考えに由来する。
プロキシアカウントなど含め、現時点で、約30人のユーザーがおり、管理者から招待コードを貰うことで参加できる。科学サーバーとはいえ、話題は科学に限らないので、科学に興味のある方で、サーバーに登録してみたい人は遠慮なく、連絡をしていただきたい。
今までに様々なサーバーの行く末を見てきたが、当サーバーは閉鎖前提であり、1年持てば良い方だと思われる。
とはいえ、このサーバーが、Fediverseに科学の風を吹かせるパイオニア植物になれば幸いである。
2023年7月頃:CalckeyはFirefishへ
Calckeyは7月に、Firefishに改名。アイコンなども一新された。
日本語圏では「火魚」という愛称も誕生。
改名の理由にはいくつかあるが、4月のMisskey.ioの騒動もあるとのこと。
2023年8月頃:Misskey.io運営が法人に
4月の騒動以降、Misskey.ioはあまり触れていなかったのだが、運営がいよいよ株式会社になった。
2月の記事で、Misskey.ioの運営について、「ioなどは個人で運営できる規模を超えつつあるような気もするが」と述べたのだが、この考えはある程度当たっていたようだ。(法人化は多くの方が予想したことだと思われるが)
2023年10月頃:"calckey.uryokurin.net"を閉鎖【やらかし】
個人的なやらかし。自鯖をアップデートし、ビルドしようとしたところ、失敗。その後諸々あって閉鎖し、"firefish.uryokurin.net"で建て直した。
後になって、原因が、Node.jsのバージョンが新しすぎたことだったと判明。アップデート前には、テスト環境で検証するのが大切であることを改めて認識させられた。
Calckey.jpの閉鎖
2023年12月31日、Calckey.jpは閉鎖されることになる。
閉鎖の発表は2023年10月。
ユーザーは少しずつだが、別のサーバーにお引越しをしており、LTLの流れもゆっくりになっていっている。
「ぼんちゃんの故郷」から、一人、また一人と旅立っている。
Calckey.jpは、落ち着いたLTLのサーバーで、安心して交流をすることの出来た数少ないサーバーだった。
それだけに、Calckey.jpがなくなってしまうのは、とても残念だ。
せめて、Calckey.jpでの残りの日々を楽しく過ごせれば、と思うばかりである。
ありがとうございました、Calckey.jp。
以上が、この10ヶ月での主な流れである。
Fediverseもまた、世の中と同じく、目まぐるしく変化するものであり、まさに「諸行無常」という言葉がふさわしいだろう。そのような流れの中、Fediverseがどのような未来へ向かっていくのか、見届けていきたいものである。