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【大地の再生】人と自然の共生の道を探る

こんにちは、いぬつかゆうきです。
また親知らずを抜きに歯医者へ。
今日も麻酔が効かず。
唇とかベロとかには効くんだけど、肝心の親知らずの神経だけは何食わぬ顔で生き生きと生きてる。
大きな病院を紹介してもらうことになった。
削りかけの歯は露髄していて痛い。
はぁ、ションボリングピーポーマックスだ。
でも、歯医者さんはいい人だったよ。
申し訳ないから今日の治療費はいらないって言ってくれた。

そんな話はさておき、今回の本題は、ぼくの実家で大地の再生をするよっていう話。
「大地の再生」というのは、自然の摂理に習った環境再生の手法で、最近は「杜人」という映画にもなって有名になってるみたい。

一応先に言っておくと、いつもよりはまあまあ長い文章が続くから、読むなら少し根気がいるかも。

大地の再生との出会い

去年の春、実家が熊本県の田舎に移住した。
その家は、杉や竹で覆われたちょっとした丘の上に建っている。
ご近所さんはいるもものの、見渡す限りは木が生い茂っていて隣家は見えないし、声も届かない。
夜に外を散歩でもしようものなら、猪に遭遇してしまう。

そんな山間の家に越してきてひと梅雨超えた2022年の7月、敷地内の斜面が土砂崩れを起こした。

実はそのときに崩れた場所は、その2年前にも一度崩れていて、一年前に修復したところだった。
前の家主さんは家を出る前に「ちゃんと工事をしたから大丈夫だ」と頑なに言っていたそうだが、工事の約一年後、呆気なく崩れてしまった。

仕方ないからまた業者さんに頼んで直してもらおうかと考えていたとき、ひょんなことから大地の再生事業をしている方がうちの様子を見に来てくれることになった。
早速、見にきてくれた「杜ノ匠ノ」の増茂さんと一緒に、土砂崩れの現場と周囲の地形を歩いて回った。

崩れたところは今はこんな感じ

杜に入ってみて

杜に入っていく増茂さんの姿はまるで杜のお医者さんだった。
お医者さんみたいな服装をしているわけではないけど、そんな存在感だった。
杜がうれしそうだった。

増茂さんは草木をかき分けながら斜面を下り、杜の奥へと入っていった。
ぼくたちもその後ろに続いた。
彼は通り道を作るように、鎌や鋸で草木を切りながら進んでいた。

それは言ってしまえば草木を傷つける行為のはずなのに、なぜか自然破壊にはみえなかった。
草木はよろんでいると言うか、抗わずに受け入れているようだった。
そんなぼくの勝手な妄想に応えるように増茂さんは後からこう言った。

「傷めようとしているのではない。植物はその意図に答えてくれる」

彼がしていることは自分たちの"こうしたい"ではなく、風がどうしたいかに従っているのだという。
風が通る道を作ってあげることで、窮屈だった草木は緩み、呼吸ができるようになる。

水と空気の通り道をつくる

大地の再生では、健康な杜を育むには地中に空気と水が通る(循環できる)ことが大切だと考えている。
しかし最近は、空気や水が滞った不自然な自然が増えてきている。

その原因にはアスファルトの道路や三面コンクリート張りのU字溝などがあげられる。
固められた道路やU字溝によって地中の水脈が詰まり、水分を多く含んだ土になることで、草木がパンパンに膨れ、杜がヤブ化していくのだという。
現場を見ながらその話を聞くと、その説明が理にかなっていることがよくわかった。

我が家が建っている小さな丘の周囲にはぐるりと道路が通っている。
その道路を歩いていると、ある地点から急に風通しの良かった杜がヤブ化した杜へ変わった。

その理由は明らかとも言えた。
心地がよく風通しのいい杜は道路の片側は山で、反対側は谷になっていた。
一方でヤブ化した杜は道路の両側が山になっていた。
道を通すために人が山を削って、地形的に言えば谷となる場所を作り出したのだ。

しかし、その谷底とも言える場所はアスファルトで覆われた道路だ。
水や風が流れてくる場所が目詰まりしている。
自然の地形を見ても、谷は地表の水が集まってくる場所でもあれば、地中から水が湧いてくる場所でもあるのだ。

また家の周囲に設置されているU字溝も杜に影響を与えていることがわかった。
U字溝も地形で言えば谷に当たる部分だが、空気や水を通さない。
そして地中の水脈を妨げ、草木を肥大化させる。
窮屈そうに重なり合った植物を見ると、ぼくが家で暮らすために、植物にこんな迷惑をかけていたんだと申し訳なくなった。

排水を分散させよう!

家の周りを歩いてまわれば、土砂崩れの原因はだいたい見当がついた。
ひとつは、家や庭に降った雨の排水が一点に集中し、水の重みに耐えられずに崩れたということ。
もうひとつは、もっと根本的なところで、なぜ地中の水の流れが悪かだだのかという点。
これは、周りの道路が一番影響を与えていると考えられた。

これらの問題に対する解決策としては、まず第一に一点集中している排水を分散させること。
それと同時に、水を流しながらも少しずつ地面に浸透させていく。
そのためにひとつ池を作ってそこに排水を持ってくる。
そうすると多少の雨であれば地面に浸透するし、たくさん降ったときはオーバーフローして分散された形で排水されていくという考えだ。

その水の排水を安定させてから、土砂崩れの工事に取り掛かる予定だ。
それはコンクリートで固めるのではなく、木などをパチンコ台のようにずらして置く。
抵抗を持ちつつも、流れを止めない。
空気と水は塞いでしまうとパンクするけど、通り過ぎても暴れてしまうのだ。

それから、家の周りの杜の手入れも必要だ。
倒れ掛かった木や竹を片付けたり、藪を掻き分けたりして、風の通り道をつくる。
地表に風の通り道ができると、結果的に、それと相応して地中にも風や水の通り道ができるらしい。
そういう意味では獣道は風の通り道をつくり、杜を守る働きをしているのだと言うのだから、すごいなと思った。

工事わくわく

そんなこんなで今月から大地の再生工事がはじまる。
わくわく。

それにしても、こうやって自然の声に耳を傾けながらこつこつと実践してきて、小さな結果をたくさん積み上げてきた人たちがいることには感心した。

ぼくたちは自然を理解することはできないけど、自然から学ぼうとすることはできるんだと気づいた。
なにも、自然を痛め続ける人間はいない方がいい!とまで言うこともないんだと思えた。

人には自然を再生させる力もあるし、上手く共生すればお互いに必要な存在になれるんだ。
ほんとにアシタカみたいだ。
ん?ナウシカか。
いやでもアシタカみたいでした。

長い文章を読んでくれてありがとう。
また工事の様子レポートも書こうかな。
ではでは。


「杜人」のHPはこちら↓

「杜ノ匠ノ」のHPはこちら↓

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