2021年の100冊 #21 「サステナブルビジネス」(出雲充)
2025年を境に価値観の大転換が起こる。そう断言するのは、ミドリムシで起業したユーグレナ社長。
2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。
2月16日、21冊目はこちら。
株式会社ユーグレナは,藻の一種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)を主に活用し食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行っているバイオテクノロジー企業です。(ユーグレナ公式HP)
ミレニアル世代が牽引するサステナブルな世の中
2025年、世界の生産年齢人口の半数以上をミレニアル世代(1980年〜1995/6年生まれ)が占めると言われています。
モノが十分にない時代を経験した戦後世代の利益・金融資本主義に対し、モノは十分すぎるほどあり余る中で「それは持続可能か」「社会のためなのか」「地球のためなのか」を消費や就職の判断基準とする価値観を持つミレニアル世代。
筆者本人も1980年生まれ、41歳。私は1994年生まれ26歳なので、ちょうどミレニアル世代の最初と最後の世代同士です。
そんなミレニアル世代が牽引するサステナブルビジネスについて語ったのが本書。
価値観の転換が起こるという2025年を待たずして、ポストコロナの中でサステナビリティという言葉を聞くことも増えてきました。
”サステナブルな”をビジネスをするために必要な考え方を、本著を参考に3つにまとめました。
①理屈よりも共感、情熱
②演繹的にではなく帰納的に
③利益はあとから
①理屈よりも共感、情熱
「社会問題を解決するアプローチはこれしかない」と出雲充は説きます。
ユーグレナはバングラデシュのスラム街の学校に通う子どもたちに、栄養豊富なミドリムシ入りのクッキーを1日1万食配っています。
たとえ自分が「いいこと」だと思っていても、相手が食べたこともない、何が良いのかよくわからないものを食べてもらうとき、どう説明すべきなのでしょうか。
「ユーグレナには栄養が59種類入っています。バングラデシュのいち日平均摂取カロリーと栄養分布のチャートはこのようになっており・・・」(略)
確かに一部の人にとってはこうした理屈は説得力があるかもしれませんが、それだけでなかなか人は動かないものです。
「私はバングラデシュが大好きで、15年前にも来たことがあります。あなたたちの役に立ちたいだけなのです。」
1998年にバングラデシュを訪れたことをきっかけに2005年に起業、最初の訪問から15年後の2014年からバングラデシュでクッキーを配るプロジェクトを開始した出雲さん。こうして情熱や信頼、共感で相手の感情を動かすこと以外に、ソーシャルビジネスのプロジェクトを浸透する方法はないと語っています。
②演繹的ではなく帰納的に
演繹的・・・法則や解が先にあり真理を究める
帰納的・・・色々試して個々の事象から一般法則を導く
「いつまでに、どのような成果を求めているのですか?」
この質問自体、今の延長線上の質問であり、イノベーションが生まれるものではないと筆者は説きます。今までの経験はまったく関係ないし、それであれば経験豊富な年配者やAIのほうがまったく得意分野。
国連や各国が何億円もかけて取り組んでも答えが出ないからこそ社会問題になっているのだから、とにかく決め打ちをしないでいろいろなことを試してみること。どれがイノベーションにつながるのか、誰にもわからない。
確信がないことでもやってみる。三年計画を立てて・・・など悠長なことは言わず、熱い想いや高い志でスタートして、とにかくどんどん実行する。
これがソーシャルビジネスに大事なことなのだそうです。
ちょっとおもしろかったのは、1つの答えがない”農業”と、ソーシャルビジネスやイノベーションの起こし方には共通点があるということ。そして法則をもとに指数関数的に物事が増えていく金融市場主義とはまったくマッチしないという考え方です。
株式の超高速取引では、1秒間に何千回も取引をして、1億円を100億円にすることが可能です。一方リンゴは急に来年から生産量を2倍にすることすら難しい上、2倍になっても人が急に2倍食べてくれるわけではありません。
でも、金融市場主義が終われば、100億円を持っていても、リンゴがなければ生きていけません。
農業もソーシャルビジネスも、現在の金融市場主義とソリは合いませんが、社会課題の解決、誰かにとっておいしいリンゴを求めて様々な方法を試し続ける、この余白と情熱がイノベーションを生むのです。
自然の摂理に合わせて生きていく。それこそが持続可能な社会につながるのではないでしょうか。
③儲けはあとから
最後に、これ。"ソーシャル”なビジネスは儲からないと言われる所以でもありますが、そもそも第一目的が儲けることではないのだから当たり前です。
何のために起業したのか。それはユーグレナが貧困層の栄養失調問題を解決してくれ、しかもCO2の削減にもつながる夢のような生物だったからです。・・(中略)・・そんな非常に子どもっぽい考えでスタートしました。
だから「ユーグレナって儲かるの?」と聞かれたときには心底びっくりしました。儲かるわけがありません。儲かると思ってユーグレナを育てる人はいません。私だって、儲けたいなら、他の事業をやっています。
今ユーグレナは直近で売上高133億円(2020年9月期)、最高益の年で12億円(2017年9月期)です。
「そうか。会社は儲けなければならないのか。それならそうと、起業する前に言ってよ」
これが私の偽らざる本音でした。
(そ、そうだったんだ。でも、彼っぽい。。。)
終わりに
サステナブルビジネスの考え方についてまとめてみました。どれも今の市場原理とは逆行するものだと、気づかれたのではないでしょうか。
①理屈よりも共感、情熱
②演繹的にではなく帰納的に
③利益はあとから
感想は、個人的すぎるのでここではいったん控えます。ちなみにサムネ画像は、バングラデシュで使っている蚊帳です。
(noteログ57分)