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2021年の100冊 #10 「ビジネスと人生の『見え方』が一変する生命科学的思考」(高橋祥子)

2021年の100冊、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始。ログはスマホで15分で書き上げることを目標にしています。

記念すべき10冊目はこちら!

生命科学的思考

まず、遺伝子の二重らせん構造で彩られた表紙がきれい。遺伝子解析の研究を推進するジーンクエスト社長の高橋さんによる著書です。

『生命科学的思考』とは、客観的な生命の原理原則を理解した上で、主観を活かしてよりよい未来のために行動する ことを可能にする考え方。

■客観的に得られる情報の例

・『感情』も『赤ちゃんの夜泣き』も『思考』も『多様性』も、非効率なようで生命の原則に則っている
・「鶏か卵か」には答えがないのは思考停止
・外界の環境変化を前提としているから個体の『死』がある

■主観を活かすための考え方の例

・主観が『課題』を作る
・『時間』とは相対的なものである
・『快楽』を積み重ねても『幸福』にはならない
・『情熱』は行動することによって後天的につくられる

知的好奇心を刺激されて脳が喜んでいた。積読になるかと思っていたらイッキ読みだった。

「ビジネスと人生の『見え方』が一変する」と書いてありながら自己啓発本と違うのは、やはり遺伝子レベルに組み込まれている生命の原則をもとに話が進んでいくからだと思う。その点この本の内容自体は『客観』的情報に近いのだけど、その客観的な情報をもとに高橋さんが紡ぐメッセージ、そして本の構成自体はものすごく主観的なものだ。

だからこの本自体が『客観的な生命の原理原則を理解した上で、それに抗うために主観的な意思を活かした』生命科学的思考を体現して生み出されている。

キャリアへの応用

この本では前半で生命科学的思考を紹介したら、後半では個人と組織への応用を考える。でも根底の思考は変わらないので、私は個人と組織どちらの章も、個人のキャリアに当てはめて考えながら読み進めた。

例えば以下のような考え方だ。

客観、主観どちらかだけではなくどちらも踏まえて判断する。
・人間は生命維持のためにいずれにせよ努力(エネルギーを使用)しなければいけない。であれば何に向かって努力する意図を持つのか考える。
行動することで情熱が湧いてくる。情熱が湧いていないのであれば、理想と現実の課題のギャップを見いだせていないか、初速を出せていないか。
他力本願では行きたいところにいけない。
・未来は不確定なので、最初に覚悟を決めて自分の選んだ道を正解にするしかない。
・大人になると過去の経験の影響が大きくなるので、一歩離れて未来も視野に入れる。
・ひとつのことで成長し続けることはありえないので、成長が鈍化したら新しいことを取り入れる。

気づいたのは、キャリアについての悩みとなるとどうも主観ばかりを優先しがち(私は何がしたいんだろう?とか)なので、何がこれから伸びるのかなど客観的情報収集も必要だと感じた。

また、やりたいことを考えるときに過去の自分の考え方や経験に偏った自己分析になりやすいと思った。つまりだいたい自分で自分を決めがちということ。10年前海外進学を決めたときみたいに、今と未来の主観を大事にしようと思った。

すごくやさしい本

先程も書いたように、この本の内容自体は『客観』的情報に近いのだけど、その客観的情報をもとにした構成や本のメッセージはとても主観的だ。

高橋さんはこの本の中で、精神論ではなく生命や遺伝子の観点から、一人ひとりが貴重でレアな存在であることや、生命の存在自体が尊いことを後押しする。

でも「生きてるだけで素晴らしい」と思考を止めるのではなく、素晴らしいだけでも残酷なだけでもないこの世界で、主体的に未来を創るべく、思考し、行動し、情熱を注ぐ存在でありたいと説いている。

自分と向き合う上でも、とっても説得力がある。

(noteログ60分)

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