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今後の子育て政策に意見を出してみませんか?「こども計画」へのパブコメにぜひぜひご参加を!

 ほづみゆうきです。本日のテーマは、中央区の「(仮称)こども計画」。自治体が5年に1度作ることになっている「子ども・子育て支援事業計画」の最新版です。

 この新たな計画の仮案ができまして、現在パブリック・コメント(通称、パブコメ)を実施中。この計画の中身とパブコメの仕組み、そしてその上でぜひパブコメに投稿してね!という点について書いていきます。


そもそも、「こども計画」って何?

計画の位置づけ

 まずは、計画の位置づけから。これは単純に言えば、「今後5年間で中央区の子ども・子育てに関することを大まかに決める計画」。国の法律に基づくもので、全ての自治体で作る必要があるものです。

 具体的な構成としては下記のようになってます。

現状とその課題の分析(2章)
 ↓
分析に基づく計画の基本的な考え方(3章)
 ↓
具体的な取組内容(4章、5章)
 ↓
計画推進の体制(6章)

 このように、現状分析や推計を元に今後やるべき課題を整理し、そこから今後の必要な行政サービスを計画していくという流れになっています。

 たとえば、「今後の人口推計に基づいて子どもの数がこれくらい増えるので、そのニーズに応えるためにいくつくらい保育園や学童クラブを増やす必要がある」みたいなことが書いてあります。


 この計画がスタートしたのは2015年で、2015年度から2019年度が第1期。そして、2020年度から2024年度までが第2期。そして、今年度がその最終年度であることから、次期となる計画が準備されています。

計画の期間

今回の計画のポイント

 3期目となる今回の計画で、実は大きな変更点があります。これは2023年4月に施行された「こども基本法」、その後の「こども大綱」などの考え方も反映されることになったためで、変更点は大きくは2つ。

変更点1. 対象範囲が広がった

 まず、対象となる範囲が広がったということ。

計画の対象範囲

 第2期の計画が対象としていたのはあくまで子どもで18歳まで。しかも、実際には中高生に関する記述はほぼなく、妊婦健診や病児保育、幼稚園保育園など未就学児に関する記載が大半でした。

 しかし、第3期では対象に「若者」も含まれるようになり中高生はもちろんのこと、成人してからの20代の若者をその対象としています。この結果として、計画の中で取り扱われる取組も中高生や20代を対象とするキャリア支援、創業支援のようなものも含まれるようになっています。

変更点2. 子どもの意見聴取が行われるようになった

 もう1つは、保護者だけでなくて子ども本人にも意見を聞くというプロセスが組み入れられるようになった点。こども基本法には「子どもに関する施策を決めるときには子ども本人や保護者などからの意見を反映させなさい」といった文言があります。

第十一条 国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、 当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映  させるために必要な措置を講ずるものとする。

こども基本法 - 第11条(こども施策に対するこども等の意見の反映)

 この記載を受けて、計画案の策定にあたっては子ども(小学生、中学生、高校生)に対してのアンケート調査も行われました。これはこれまでなかった画期的なことです。また、次に書きますがパブコメの対象としても子どもが位置づけられており、子どもたちにも分かるように計画の簡易版が作成されています。

「パブコメ」って何だっけ?

パブコメの概要

 計画そのものについてざっくり理解いただいたところで、次はパブコメについて。これは略称で、正式にはパブリックコメント。

 これは、東京都とか中央区といった行政機関が計画や法律などを作る際に、それを完成させる前にその仮案を公表して意見を募集する手続きです。

 なんとも味のあるフロー図は中央区のWebサイトから拝借。

パブリックコメント(区民意見提出手続き)制度とは

 行政機関だけで一方的に決めてしまうと、その計画などの当事者の意見がしっかりと反映されておらず不利益を被る場合もあります。それを防ぐために、計画を固める前に事前伺いの形でこの手続きがあるんですね。

 そして、現在その意見募集が行われているというわけです。

どういう手続きで、出すとどうなる?

 次に、具体的な手順。意見の提出方法は様々。FAXもあります。

・窓口持参
・郵送
・FAX
・電子メール
・意見投稿フォーム

 もっとも一般的であろう意見フォームはこんな感じ。住所氏名などを記載した上で、「○○○のため、○○してほしい」といったことを書きます。

パブリックコメント ご意見提出

 この投稿した意見は、出しておしまいではなくて1つ1つに回答がもらえます。1つの例として「中央区健康・食育プラン2024」という計画に対して集まった意見とそれに対する区の回答はこちら。左側がパブコメに寄せられた意見で、右側がそれに対する区の考え方。

「中央区健康・食育プラン2024(仮称)」に対する ご意見の概要と区の考え方

 基本的に前向きに対応されることは少ないですが、まったく反映されないというわけではありません。上記に挙げた部分では、数値目標設定がない意見に対して、「可能な限り数値目標を設定」という回答があり実際に計画に反映されています。

なぜ、パブコメに意見を出すことが大事なのか?

 このパブコメに意見を出すということは極めて重要です。なぜかというと、区民の皆さんの声を行政に対して直接届ける数少ない機会であるため。

 先に挙げた通り、このパブコメが存在する理由はその計画に関係がある人たちに影響がないかどうかを確認するため。つまり、このパブコメの中で意見が出てこないということは「関係者にとってこの計画はまったく問題ありませんでした!」という捉え方になってしまうということです。


 もちろん、実際はそんなことはありません。

 この制度自体を知っている人はそれなりに多いでしょうが、その開催期間というのはわずかですのでこのパブコメが開催されていることを知っている人はごくわずか。さらには、その計画案の文章を読み込む人、そしてそこに対して意見を出すという人はさらにさらにわずか。割合はテキトーですが、こんなイメージ。

パブコメの認知度と実際に 意見を出す人の割合イメージ

 要するに、ここで意見が出ていないからと言って実際にその計画に対して一切不満がないなどという理屈は通用しないはずです。本来であればもっともっと広く周知をするべきでしょうし、リアルでの説明会や意見交換会があっても良いはず。


 とは言いつつも、正当なプロセスとして現状で位置づけられているものはこれだけなので、この範囲で対応をせざるを得ないというのが現実。少なくとも今の段階では、この今の枠組みの上で意見を伝えていくということが大切なのです。

あなたもはじめよう、パブコメ!

 これまで、この計画の位置づけとパブコメの概要についても整理してきました。この計画は、今後5年間の中央区の子育てや教育を担うとっても重要な計画です。そして、パブコメはその計画に対して「もっとこうしてほしい!」という要望を伝えるための大事な機会です。

 こういうと、ちょっと皆さんも何か言ってみたい気持ちになってきたのではないでしょうか(なってなくても、なってほしい!)。

 そんな気持ちになったという前提で、最後に今回の計画案に対して具体的にパブコメに意見を投稿するステップについて整理しておきます。

Step1. 計画案を読む

 まずは計画案を読みます。今回のパブコメのページに計画案のPDFが置いてあります。リンクはこちら。

 計画案には2つあって「通常版」と「簡易版」。

 通常版は、「Theお役所の計画モノ」といった風貌で全191ページ。

(仮称)中央区こども計画 (第三期中央区子ども・子育て支援事業計画) 中間のまとめ

 ただ、この計画をアタマから全部読むというようなことはわたしを含めた議員などがやりますので、当事者の方に見ていただきたいのはご自身に関わる部分。

 たとえば「学童クラブなどの放課後の居場所確保」や「障害を持っていても不都合なく成長できる支援体制の充実」など。関連するキーワードを検索すれば該当する部分が出てきますので、そういったところだけでも見ていただきたいです。


 もう1つは、簡易版。これは小・中・高校生世代向けに計画の概要をまとめたものです。

(仮称)中央区こども計画 (第3期中央区子ども・子育て支援事業計画) 中間のまとめ(簡易版)

 小学生と高校生と一括りにして良いのか?というツッコミはありつつも、今回はこども基本法をきっかけに「子どもからの意見を聞こう」という機運があったことで初めて作っていただいたのでそこはご容赦を(担当部署としては、最大限頑張っていただいているという認識です)。

 このような形でスライド形式の13枚。大まかな計画の中身が分かる内容になっています。大人の方も、時間がない方はこちらを見ても良いでしょう。 

(仮称)中央区こども計画 (第3期中央区子ども・子育て支援事業計画) 中間のまとめ(簡易版)

Step2. 意見を考える

 次は、計画書に対しての意見出し。計画案を読んでいると、「こういう要素が足りてないのでは?」とか「もっとこういうこともやってほしい!」といったことを思えてくるでしょう。

 そういった内容が浮かんできたらその1つ1つをメモしておきます。必要な要素は以下の3つ。

  • ページ数

  • 該当箇所を特定する見出しなど

  • 意見内容

 最終的に意見を出すときはこんな形式で書くことが推奨されていて、これに準拠したものです。

(例)75ページ (6)○○○の運営について
    ○○○のため、○○してほしい

 1つの注意点は、この形式で出すことが求められているとおり、まったく計画に書かれていないことをゼロベースから求めるような場ではないということです。そういった意見を出したとしても内容に取り込まれるということはないので、出すにしてもどこかしらの内容に関連させて出すことをオススメします。

Step3. 意見を投稿する

 最後に、意見を投稿するステップ。投稿する手段としては、窓口持参、郵送、FAX、電子メール、意見投稿フォームの5つ。おそらくこの記事を見ていただいている方には一般的であろう「意見投稿フォーム」について、軽く解説します。

 まず投稿フォームはこちら。

 ここで入力が必要となるのは下記の項目。匿名では出せません。

名前 [必須]
住所 [必須]
年代 [必須]
電話番号 [任意]
意見 [必須]

 なお、「意見」はまとまっているのであれば1回の投稿で複数書いても問題ありませんし、思いついたタイミングでその都度投稿してもOK。

 フォームの入力欄にはわりと丁寧に記入例も書いてありますので、記入例にそって書いていけば大丈夫です。今回は、漢字が読めない子も配慮してふりがなまで振ってくれています(これも新たな取組。素晴らしい!)。

パブリックコメント ご意見提出

 他の手段での投稿方法はこちらから確認してください。

最後に

 今回は、中央区が策定中の「(仮称)こども計画」の概要とそのパブコメについて解説してきました。

 文中にも書いたとおり、この計画は今後の中央区の子育ての方向性を決める極めて重要な計画です。そして、こども基本法が施行されてからはじめての計画で、まだまだ十分とは言えないにしても子どもの意見を反映させるという理念が生かされたはじめての計画。

 保護者の皆さんはもちろんのこと、ぜひぜひ多くの子ども・若者からのご意見が集まってほしいと考えております!

 なお、過去にパブコメに意見提出をされた方で、結局反映されず残念な思いをされた方もおられるでしょうが、たとえ結果として反映されないにしても、十分意味はあるとわたしは考えます。なぜならば、その回答を作るために区の多くの職員がその寄せられた意見を目にするため。その内容は直接に反映されないにしても職員の頭に残り、計画改定のタイミングや具体的な事業を作る段階で反映されるかもしれません。そういった長い目での視点も持ちつつ、ぜひチャレンジしてみてください。


  今回の記事についての感想や、その他ご意見などあればぜひお聞かせください。


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