【エッセイ】他人と違うことがしたいと思う気持ち
「この子の名前、他の人とは違う名前にしたい」
「名前は一生ついてくるんだから、普通の名前が良いのよ」
「いや、普通じゃない方が良い」
「普通が良いのよ」
「じゃ、紙に良いと思う名前を書いて、いっせーのせで出そう」
「良いわよ。いっせーの、せっ!」
2人が出した名前は、どちらも「太郎」だった。
(140字)
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なんとなく、今の子供たちに多い名前のランキングを調べてみたら、たまごクラブ・ひよこクラブのサイトが出てきた。
それによると、男の子の1位は「碧 あおい」、女の子の1位は「陽葵 ひまり」だそうです。
これで「ひまり」って読むのか。もう、読めない名前が当たり前だもんな。
多分、両親は一生懸命考えたんだと思う。
ひととは違った名前を。この子だけの名前を。
でもなぜか一緒になっちゃう。
批判してるんじゃなくてね、そういうものだよなぁと思う。
今や、太郎とつける方が珍しい。
一時期は古風な名前が流行ったのか、虎太郎とか、健太郎なんて多かったけどね。
よく、
「ひととは違うことをしたい」
という言葉を聞いたり読んだりする。
でも、そうやって個性を追求する人たちを見てると、なんだかみんな同じに見えてしまう。
考えてみると、他人と違うことをしたいと思う気持ちが他人と同じなのだと思う。
そしてそういう人たちは、なんとなく見た目が似てきちゃう。
個性を主張しようとしてるのかな。
そんなことを考えず、自分の興味あることに突き進むのをやめられないような人たちが、結果的に「ひととは違う」人に見える。
個性はつくるものじゃないからね。
以前、そんなことをお寺の住職を務めている友人に話すと、彼はこう言った。
「他人と違うことをしたいと思う気持ちが他人と同じ、ね。それ、お釈迦様も同じようなことを言ってるよ」
おお!さすが仏陀!
仏教はやっぱり宗教というより哲学だなぁ。
トップのイラストは検索して出てきた、サキザキナリさんのイラストをお借りしました。
良いイラストですね。
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