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【日記】バスに揺られる夜
(893文字)
実家からの帰り。今回は新幹線で来た。
帰りは最寄りの私鉄の駅まであるくのではなく、JRの駅までバスで行くことにした。
久しぶりのバス。
ボクは日常的にバスを使ったことがない。使い慣れないものを使うときはちょっと緊張する。
バスは来るか来ないか分からない。
ボクがそう言うと、妻は「そんなわけないじゃん」と笑うけど、本当にそんな感覚がある。バスはどこか信用ならない。
電車はレールの上を確実に来てくれる安心感がある。
早く着いたらホームで待っているだろうし、遅れるなら駅員が遅れるとアナウンスしてくれる。
しかしバスは分からない。
早く着いたら、後ろの車も待ってるしと、早く行ってしまうかもしれない。
遅れても誰も教えてくれないので、もしかしたら行っちゃったかな?と、不安な時間を過ごさなければならない。
というわけで、13分前にバス停に着いて、寒空の下で待っていると、不安になった頃、定時から3分遅れて到着した。
「遅れてごめんねー」
なんて運転手さんが言ってくれれば、なんとなく納得するけど、無言なので不安な三分間が消化されない。
一段高くなった後ろ半分の席に座る。
窓の下をスクーターが抜き去って行く。
夜の住宅地の県道をバスは走る。
眺めが良いので5つくらい向こうの信号まで見える。
いま住んでいる宮城県の港町と違って、埼玉県の住宅街は21時近くになっても人や自転車が各々の方向を目指す。
信号で止まると、学習塾で必死に机に向かう子供達が見えた。彼らにとって冬休みも休みじゃないだろうな。
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少しずつ居酒屋やスナックなどの灯りが見えるようになってきて、気がつくと住宅地から繁華街になっていた。歩道をたくさんの人が行き交う。
実家に住んでいる頃は、この程度の人の数ではたくさんとは思わなかったけど、すっかり東北人になった気分。
イルミネーションが見えてきたと思ったら、そこが終点の駅だった。
いつも車で移動しているけど、こうして公共交通機関を使うと、のんびり観察ができる。
それもまた良い。
都会は季節感がないと言うけど、駅や公園のイルミネーション、コートやマフラー姿の人々、寒そうに寄り添う男女に季節を感じるのも良いんじゃないかな。