非行と引きこもりの共通点――愛情不足が生む問題行動
「非行」と「引きこもり」は正反対ではない
「非行」と「引きこもり」。一見すると正反対のように見える2つの行動には、実は根本的な共通点があります。それは、**「愛情不足」や「自己否定感」**から生じる問題行動であるということです。
非行少年が暴力や万引き、夜遊びといった行動に走る理由も、引きこもる子どもが部屋から出られなくなる理由も、その背景には**「愛されていない」「自分の存在を認めてもらえていない」**という感情が隠れています。
40年にわたり10,000人以上の親子と向き合ってきた私が見てきたのは、これらの問題行動がいかに根本でつながっているか、ということです。
愛されなかった子どもが抱える「自己否定感」
子どもたちが非行や引きこもりに陥る背景には、「自己否定感」が強く影響しています。
自己否定感とは、「自分には価値がない」「自分なんてどうでもいい」と感じてしまうことです。この感情が、問題行動を引き起こします。
非行少年の自己否定感
暴力や窃盗、夜遊びといった行動をする子どもたちは、周囲から「目立とうとしている」「悪ぶっている」と思われがちです。
しかし、彼らの行動はしばしば「愛されたい」「認められたい」という心の叫びです。
「どうせ俺なんて、何をしても誰も気にしてくれない。」
ある非行少年はそう言いました。
彼の行動は、「自分を見てほしい」という思いの表れだったのです。
引きこもりの子どもの自己否定感
一方で、引きこもりの子どもたちは、非行少年と違って外の世界と関わろうとしません。
しかし、その理由も同じです。
「どうせ俺なんて、外に出たって誰にも必要とされない。」
部屋に閉じこもる子どもたちもまた、自分の価値を見失い、「外に出ても無意味だ」という感情に支配されています。
非行と引きこもりの「根っこ」は同じ
非行少年が暴走族から抜け出したと思ったら、今度は引きこもりになった――こんな話を私は何度も目にしてきました。一見すると正反対の行動に見えるこれらの現象がつながっているのは、「根本的な問題」が共通しているからです。
非行も引きこもりも「愛情不足」が原因
非行少年と引きこもりの子どもたちの共通点は、幼少期に十分な愛情を受けられなかったことです。
特に、親からの愛情が不足していた子どもは、次のような特徴を持つことが多いです。
1. 自己肯定感が低い
• 「自分には価値がない」と思い込んでしまい、周囲と正しく関わることが難しくなる。
2. 他者を信じられない
• 自分が愛されていないと感じる子どもは、他者を信じる力も失い、孤独感に苦しむ。
3. 問題行動で自分を守る
• 非行少年は攻撃的な行動で自分を守ろうとし、引きこもりの子どもは外の世界から逃げて自分を守ろうとする。
「愛情不足」が子どもに与える影響
例1: 暴走族の少年が引きこもりになるまで
15歳で暴走族のリーダーだった少年が、20歳になるころには自室に閉じこもるようになりました。
彼は幼いころから両親に厳しく叱られることが多く、褒められた経験がほとんどありませんでした。非行に走った当時は、仲間といることで「自分の居場所」を感じられていたのですが、暴走族を抜けた後は誰も信じられなくなり、孤独に苦しむようになりました。
彼の行動の背景には、「自分は誰にも必要とされていない」という感情が根付いていたのです。
「居場所」と「愛情」で子どもは変わる
非行や引きこもりは、根本的には「愛情」と「居場所」の欠如が原因です。
これまでの経験から、私が断言できるのは、子どもに安心できる居場所を与え、親が本当の愛情を示すことで、問題行動は必ず改善の方向へ向かうということです。
具体的な改善のステップ
1. 「愛されている」という感覚を取り戻す
• 子どもに対して「あなたは大切な存在だ」と伝える行動を積み重ねる。
• 子どもの行動を否定せず、受け止める姿勢を持つ。
2. 居場所を提供する
• 子どもが安心して自分をさらけ出せる家庭環境を整える。
• 心地よい時間を親子で共有する。
3. 信頼を取り戻す
• 子どもが親を信じられるよう、親自身が一貫した言葉と行動を示す。
結論:非行も引きこもりも、親の愛情で解決できる
40年間で10,000人以上の親子と向き合ってきた中で見えてきたのは、非行や引きこもりの根本原因が共通しているということです。そして、その原因を解決する鍵は、親が「愛情」と「信頼」を子どもに示すことです。