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親父しっかりしろ!!


最近、さまざまな相談を受ける中で感じることがあります。「父親としての強さ」が薄れてきているということです。
佐々木正美先生が「強い父性がないところに、強い母性は光らない」とおっしゃっていますが、私自身もその言葉を実感する場面が多々あります。

たとえば、小さい頃は母親にほぼ子育てを任せきりで、子どもとの約束も守らない。それが思春期になると、子どもが衝動的な行動を起こしたときに、頭ごなしに怒鳴る。
しかし、信頼関係が築けていない父親から叱られた場合、子どもは素直に受け止められず、むしろ反発します。

思春期で親に反発している子どもは、幼少期に十分な保護を受けられなかったケースが多いです。幼児期に親からの保護が欠けていると、思春期になると親への不信感が増幅し、その矛盾がストレスとなり、「親から離れたい」という気持ちが非行として表れることがあります。

一方で、幼少期に親の保護が行き届いていた子どもは、思春期に入っても親の干渉を受け入れやすい傾向があります。しかし、中途半端な愛情や曖昧な叱責を繰り返されると、子どもは次第に「自分がどこで褒められ、どこで叱られているのか」わからなくなります。
その結果、親の言葉はただの愚痴のように聞こえ、家に居場所を感じられなくなり、親の存在を疎ましく思うようになるのです。

「逃げる父親」が引き起こす問題


こういう父親がいました。
息子が中学3年生のとき非行に走り始めても、強く叱ることはせず、学校に行かなくても夜遅く帰ってきても「もうちょっと早く帰れよ」という程度の言葉しかかけませんでした。

息子は中学卒業後に高校へ進学しましたが、わずか2か月で退学。その後はまともに仕事をせず、気が向いたときだけアルバイトに行く生活を続けました。一方で夜遊びはやめず、帰宅は深夜。
朝になっても起きない息子を、疲れ切った母親が何度も起こす。ようやく渋々起きて仕事に向かう。そんな生活が続き、母親はとうとう父親に「息子に強く言ってよ!」と訴えます。

しかし父親はこう答えました。
「あいつは何を言ってもダメだ。放っておくしかない」

ここで問題なのは、**父親が完全に「逃げている」**ということです。

子どもが待っている「父親の強さ」


夜遊びが常態化している時間帯は、何が起きてもおかしくありません。チンピラや暴走族、時には刺す・刺される事件も起きる。そんな状況で平然と寝ていられるのは、親として、特に父親として無責任だと私は思います。

父親には、危険な場所にいる子どもを引っ張り戻してくる強さが必要です。
実は、子ども自身もその父親の強さを求めているのです。父親が自分を見守り、導いてくれる存在であることを子どもは本能的に期待しています。

ところが、父親が逃げてしまうと、母親にその役割が過剰にのしかかります。母親が「こうしてほしい」「ああしてほしい」と訴えても、父親に文句を言われてしまう。
結果として、母親は自分が逃げられないことを自覚し、より感情的になります。それによって、母親の「安らぎ」や「安心感」を与える役割が機能しなくなるという悪循環が生まれるのです。

本当の父性を取り戻すために


息子が非行に走る理由の多くは、親の矛盾や中途半端な愛情、そして一貫性のない接し方によるものです。
その矛盾を正し、子どもに愛情を持って接し、信頼関係を築くためには、父親が逃げずに向き合う必要があります。

そして最後に、これをお伝えしたい。

子どもは父親を尊敬していますよ!!

だからこそ、父親が「逃げない姿勢」を見せることが、子どもにとって本当の愛情の証明なのです。

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