君に会いにいく
君に会いたいと思うことが、私には幾度となくあった。
その声を生で聞いてみたいって。
でも会いたい人に会えてしまったらそれで終わり。
そう思うこともありました。
ずっと手の届かない存在であってほしいって。
それでも君に会いにいったのは、今日この瞬間は、いつかは過ぎ去ってしまうものだし、思い出だって簡単に消えてしまうものだから。
池袋の路上で君たちふたりの声を聞きながら、
「しあわせだ」
と私は思う。
たとえこの金曜日が終わってしまったとしても。
またすぐに君たちに会える気がするから。
国語は得意だと言い張る君が自信満々で
「くる!12月!」
って言ったその高い声が私の耳によみがえる。
また会いたい人に会いにいこう。
山手線にゆられながら、そんなことを考えた。