インド産業・経済記事要約訳とコメント タタ社の9100億ルピーのチップ製造工場提案に内閣が同意
20240301 バウア(Baua)社纏め;タタ社の9100億ルピーのチップ製造工場提案に内閣が同意 - E ET Auto 紙より転載
要約訳;
タタ(Tata)・グループのタタ・エレクトロニクス社は、台湾のチップ製造会社であるPowerchip Semiconductor Manufacturing Corp ( PSMC;力晶積成電子製造股份有限公司 )と、グジャラート(Gujarat)州ドレーラ(Dholera)に設立予定の合弁会社の設立契約提携を行いました。
連邦内閣は木曜日、タタ・グループが提案した累積投資額9100億ルピーの半導体ファウンドリー設立に対する優遇措置を承認しました。
その結果、ニューデリー (インド政府)の長年の悲願であったインド初の商業ファブへの道が開かれることになります。
インドはここ数年、自国の商業的・戦略的利益を確保するため、世界の他の主要経済国と同様に、チップの組み立てと生産を現地化することに、真剣に取り組んできました。
タタ・エレクトロニクス社のファウンドリー部門設立の提案が承認されたことで、インドは半導体市場における本格的なプレーヤーとして世界的に注目されるようになるでしょう」と、アシュウィニ・ヴァイシュナウ(Ashwini Vaishnaw) 電子・情報技術担当大臣は、内閣での報告会後、何人かのジャーナリストを集めて語りました。
内閣は、また、タタ・グループのタタ・セミコンダクター・アッセンブリー・アンド・テスト(TSAT)社と、CGパワー社とルネサス社の共同出資による、アッサム州のモリガオン (Morigaon )とグジャラート州のサナンド (Sanand )に、それぞれの組立・試験・マーキング・パッケージング(ATMP:assembly, testing, marking and packaging ) ユニットの提案も承認しました。
TSAT社の提案は2700億ルピーの投資であり、それに対しCG Power社は760億ルピーの投資額です。
この3つのプロジェクトの投資総額は1兆2600億ルピーで、そのうち4770.4億ルピーは7600億ルピーのインド半導体ミッションの補助金(枠)の中からであり、中央政府負担となります。
合計で2万6,000人の高度技術職と十万人の間接雇用が創出されます。
タタ・グループのタタ・エレクトロニクス社は、グジャラート州ドレーラに設立される合弁会社については、台湾のチップ製造会社Powerchip Semiconductor Manufacturing Corp(PSMC)と提携をしました。ET(エコノミック・タイムズ紙)は2月20日、タタ・グループがPSMC社とチップ部門の提携に向けて交渉中であると報じました。
「タタ・グループは、国内で多くの(産業)分野を切り開いてきた伝統があり、半導体製造への参入は、この伝統に拍車をかけるものと確信しています」と、タタ・グループのN・チャンドラセカラン (Chandrasekaran ) 会長は述べました。
「半導体産業は大きく成長する可能性があり、インドはこの機会を捉えるのに絶好の立場にあります。
PSMC社のフランク・ホン(Frank Hong)会長は、「インドが半導体製造業界に参入するために、今以上のタイミングはない」と述べています。
この野心的なプロジェクト建設は、今後100日以内に開始される予定です。「半導体ファウンドリーは、ノートパソコン、サーバー、モバイル機器、国内電子機器産業など、川下の産業に大きな影響を与える基礎産業です」とはヴァイシュナウ(Vaishnaw)氏の言葉です。
このファウンドリーは、28ナノメートル、50ナノメートル、55ナノメートル、90ナノメートル、110ナノメートルの高性能チップを製造する予定、と同氏付け加えました。
今回の開発は、「世界の半導体産業に対するインドの貢献を再定義する道を開くものであり、画期的なものです。
HCLグループの共同設立者であるアジャイ・チョードリー(Ajai Chowdhry)氏は、「この動きは、私たちが過去40年間待ち望んできた事態であり、今、漸く実現し増田」と語りました。
タタ(Tata) - PSMC半導体工場は、月産5万枚の製造が予定されています。一枚のウェハー・スタートには約5000個のチップが搭載されています。
この工場では、ハイパワー・コンピューター、電気自動車、電気通信、防衛、家電、自動車、パワー・エレクトロニクスの需要に対応するため、年間30億個のチップを生産する予定です。
総投資額270億ルピーで設立されるTSAT(Tata Semiconductor Assembly and Test)社工場は、自動車、電気自動車、家電、通信、携帯電話などの製品分野に対応し、1日当たり4,800万チップの生産能力を持つ予定です。
「このプロジェクトでは、組み立て、テスト、その他のサービスを必要とする顧客がタタ・グループにノウハウを提供し、タタ・グループがそれを実行する、と言う形を取ります。
ラジーブ・チャンドラセカール(Rajeev Chandrasekhar)電子情報技術担当大臣は、「大量生産可能な工場が出来る予定」と述べました。
一方、CGパワー社が日本のルネサス・エレクトロニクス社、タイのスターズ・マイクロエレクトロニクス社と提携して提案したATMPユニットは、民生、産業、自動車、電力分野の特殊チップの需要を満たすものです。
同工場は日産1,500万チップの生産能力を持ち、760億ルピーを投資する予定です。
サナンド(Sanand)に本社を置くマイクロン社を含め、国内のATMP生産能力は日産8,050万チップとなる、とはヴァイシュナウ(Vaishnaw )氏の述べた所です。
「インドの半導体振興への取り組みを強化するだけではなく、3社とも国(インド)の雇用創出に大きく貢献するでしょう」
半導体に焦点を当てた政策提言団体Epic Foundation社の創設者であるアジャイ・チョードリー氏は、「この一歩が、世界に取って活発な半導体エコシステム創設に大きく貢献する、と確信しています」と語りました。
私のコメント;ファウンドリーとしての大量チップ生産は実現可能性が高い、と思われます。問題は、素材を含めた原料や、半導体そのものの製造機械の調達、及び、水確保と化学的洗浄使用液の汚染処理ではないか、と思われます。また、今後の半導体製造に関し、新しい素材が研究・開発されている様であり、現在の先端技術の担い手が変わる可能性もある、と思われます。インドでは汎用技術と先端技術の棲み分けが起きるのではないか、と思われます。インドでの合弁各社の動きと同時に、日本のラピダス社の急激な技術的開発力は、注目に値する、と思われます。目下の所、インドと提携し得る合弁先は、韓国勢と台湾勢の様です。