“面倒くさい・後回しにしよう”の心理1<失敗する恐怖が原因の場合>
やらなきゃダメだと分かっているけど面倒くさいから後でやろう...
いよいよ期限が迫り、焦る気持ちはどんどん膨らむ...
けれど、どうしてもやる気が起きなくてさらに後回し..
後回しの末に事態は悪化し、さらにやる気がなくなっていく....
誰でもこのような経験をしたことはあるのではないでしょうか。「面倒くさい」「後でやろう」という感覚はとても一般的で、小さい子供から大人まで日常的に経験するものです。しかしこの一般的な感覚の背景には、人それぞれ千差万別の心理的要因が隠れているものです。シリーズ「“面倒くさい・後回しにしよう”の心理」では、背景に潜む心理的要因を解きほぐすことで後回しにしてしまう癖を克服し、学業や仕事をもっと楽に、そして夢に向かって進んでいくための方法を探っていきたいと思います。
誰でもこのような経験をしたことはあるのではないでしょうか。「面倒くさい」「後でやろう」という感覚はとても一般的で、小さい子供から大人まで日常的に経験するものです。しかしこの一般的な感覚の背景には、人それぞれ千差万別の心理的要因が隠れているものです。シリーズ「“面倒くさい・後回しにしよう”の心理」では、背景に潜む心理的要因を解きほぐすことで後回しにしてしまう癖を克服し、学業や仕事をもっと楽に、そして夢に向かって進んでいくための方法を探っていきたいと思います。
早く着手していればスムーズにいくはずなのに、つい後回しにしてしまったせいで「もう手遅れではないか...」と不安が大きくなり、やがてその不安が恐怖に変わり、やらなければならないことから顔を背けてさらに後回し...。このような状況に上手に対処できるようになりたいものですね。今回は、なぜ人がそもそも「後回し」にしたくなるのか、その原因の一例「失敗する恐怖が原因の場合」をBさん(30代・会社員・男性)の事例を使ってご案内します。
大手企業に勤務しているBさんは、ある日会社から「2年間アメリカのビジネススクールに留学させてあげよう」と言われました。Bさんはずっとビジネススクールで学ぶことを夢見ていたので大喜び。きっと希望の大学へ行ってやるぞ!と受験勉強もやる気満々。
しかしいざ受験に必要なテスト勉強を始めようとすると、どうも「面倒くさい」と感じて後回しにしてしまい、やがて当初の勢いが日に日に衰え、勉強した方がいいことは分かっているのに全く手がつけられなくなってしまいました。
そんなBさんに、勉強に取り掛かろうとするときどんなことを考えていますか、と尋ねると「どこにも受からなかったら自分の人生は終わりだ」という恐怖・絶望感でいっぱいになるとお答えになりました。
これ似た感覚を、過去にも感じたことはありますかと尋ねると、Bさんは高校受験をした当時のことを思い出されました。
Bさんのお母さんは、Bさんが県で一番の進学校に行くことを望んでいました。お母さんは家でリラックスしているBさんを見ると、「もっと勉強しないと○○高校に受からないわよ!落ちたら承知しないわよ!」と激しい剣幕で怒鳴ることが度々あったそうです。まだ中学生だったBさんは、お母さんの激しい怒りに怯え、不合格だったらとんでもないことが起きる、人生終わりだ...と恐怖と絶望感を抱えながら必死に勉強したといいます。
Bさんは受験勉強に取り掛かろうとするときに感じる「面倒くさい」という感覚や思考パターンを分析することで、高校受験の際に感じた恐怖・絶望感に似た感覚を覚えることに気が付きました。
普段、仕事はテキパキとこなすBさんは、勉強のことになるとどうしてこれほどまでに億劫になってしまうのか自分自身でも疑問に感じていました。そして「自分は怠け者なんだ」「チャンスをものにできない人間なんだ」と自己批判を始めて、ますます気持ちが落ち込んでしまっていたのです。しかし、過去を振り返ることにより、「受験」という状況になると不安や絶望を感じる傾向にあるという、ご自身のパターンに気が付くことができました。
「面倒くさい」という言葉はとても一般的に使われるため、多くの人は面倒くさいと感じたときに、わざわざその背景にある思考や感情を分析しようとはしないでしょう。それどころか、面倒くさいという感覚に馴染みすぎて、そもそも面倒くさいと感じていること、後回しにしてしまっていることに気が付かないこともあるでしょう。まず、どんなときにご自身が面倒くさいと感じ、後回しにしてしまうのかを気に留めるように心掛けましょう。後回しにしがちなタスク、対人関係、状況等が把握できると、そこにパターンが見えてくるかもしれません。人が面倒くさいと感じる理由は十人十色です。Bさんのようにパターンと原因が見えてくれば、ぐっと対処がしやすくなります。
次回「“面倒くさい・後回しにしよう”の心理2 < 恐怖の根源を探るテクニック〜「大切な誰か」を例に考える>」では、過去の出来事がどのように現在に影響しているかを探るテクニックをご紹介いたします。
長谷川由紀
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