脳の構造は変えられる?2 <習慣化した思考パターン>
前回「脳の構造は変えられる?1」では、習慣化思考パターンによって、それに対応する神経回路が反復して使われることにより強化されていく仕組みを解説いたしました。
今回は、神経回路が実際に私たちの生活にどのように影響するのか、長年うつ病と不安症に苦しんできたEさん(35歳・女性・会社員)の事例を使って具体的に考えてみましょう。
Eさんはご自身の思考・感情のパターンに注意を払うことで、どれだけ普段ネガティブなことを考えているかを発見しました。このことから、おそらく、Eさんの脳内ではネガティブなことを考える神経回路がポシティブなことを考える回路よりも発達し、外界からの刺激をネガティブに捉える癖がついているのではないかと推測できます。
このように、ネガティブに考える癖がついていると、本来はニュートラルな事象を悪い方に捉えて余計な苦しみを抱えてしまうことがあるようです。
今回の事例では本題から逸れるため割愛しましたが、通常セラピーでは、思考・感情パターンを解明するために、日々の出来事から幼少期の経験や家族関係に至るまで幅広く時間をかけて探っていきます。馴染み深いパターンには自分自身で気が付くことが難しい場合もあります。Eさんが試みたように、日々どのように考え・感じているかに関心を払い、気付きを書き出すのはとても効果的な方法ですが、難しさを感じた場合にはセラピストに相談してみるのもいいかもしれません。
ご自身が想像以上にネガティブなことばかり考えている場合、それに気が付いたときにショックを受けたり、絶望感を感じることがあるかもしれません。しかし、日々の心掛けとちょっとした習慣で、脳の構造は少しずつ変えていくことができます。次回以降、脳の変化に関するこれまでの研究結果や脳を変えるためのトレーニング方法をご紹介していきますのでご興味がある方はご覧ください。
次回、『脳の構造は変えられる?3 <脳と幸せ・幸福度の既定値とは>』では、幸せ・不幸を感じているときに脳ではどのような活動が行われているのか、そして「幸福度の既定値」という概念をご紹介します。
長谷川由紀
☆おことわり☆
本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。
また、本ブログの事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。
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