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とまり木

都内からのバイクの伊豆箱根ツーリングを終え、箱根から接続された小田原厚木道路の途中二宮ICにて私は二人(ninjya400  GSR750)と別れた。そこから西湘バイパスに乗るが海風が強くバイクが煽られる。天気は良い。
今週末は暖かいのだ。3月になり寒暖を繰り返しいよいよ春へ向かう中、順番として今日、週末の土曜日は暖かい日となったのである。

茅ヶ崎の自宅に戻ると、ユキヤナギや、屋根ほどの背丈のアカシアの花が一斉に咲き重く垂れ下がっている。アカシアは咲き始めの、鮮やかな緑がかった菜の花のような黄色から少し茶色くなっており、こんなところにも春はすでに来ていたことを感じる。アカシアは成長も早く、枝を大きく伸ばす割には幹が細く台風などで根が耐えきれずに倒れてしまうこともあるのでどこかでまた切る必要があるかもしれない

家に入り、シャワーを浴びて横になると陽気のせいもあり寝てしまった。バイクツーリングで朝早く出発したこともあり、疲れが出たのか。妻は庭や家の手入れをしてひと足さきに都内に戻ったので、今夜は一人で食事をしなくてはならない。何か作るには面倒であるので、久しぶり茅ヶ崎に戻ったので街に繰り出すことにした。

一中通りを海を背に歩いて、鉄砲通りの「DIG INN」へ行くもお客さんでいっぱい。店員に聞くと予約もあり一人だと厳しいとのこと。ということでハンバーガーは諦め駅の方へ。「エルマンボ」に行くものの、ここでも女将さんにいっぱいでと断られた。うーむ。1人は難しいのかと、それならば昔よく一人で会社帰りに一人焼肉していた「ジンギスカン」へ行くと、ここもカウンターもいっぱい。。
いわゆる居酒屋はいっぱいあるけども、店内の喧騒の中に一人では入り難く、いやーここまで来てコンビニやファストフードなどは堪らないなあ、と思いながらもう少し歩くと、ギネスの看板に、モルトウイスキーの表示が。店内は見えないがBARであることは間違いなさそうなので、思い切って扉を開けると、カウンターに女性のバーテンダー、奥にご常連の細見で口ひげ老紳士がスツールに腰掛けている。ここで怯まず、好奇心がまさって「一人なんですが。。」と言うと、お好きなところにどうぞ。と促された。

一番奥の御常連さんからの距離をとり、かといって離れすぎるのもどうかと思い、スツールの列の真ん中あたりに所在なげに腰をかけた。アンバーな色の木目の内装。いわゆるオーセンティックなBARを演出しているが、時間の経過とともについでに置いてしまった特にお酒とは関係ないものや、薄く埃などがかぶっているビンなど地方都市のバーにあるような感じはあるが、居心地はいい。ギネスビールを頼むと、そこから女性のバーテンダーから問いかけられた話題から、ゆっくり関係が周りだし、いつの間にか、ご常連さん(先生)とも打ち解け、私の真ん中の居場所が、気がつけばご常連さんの隣になり、3人ですっかり仲良く身の上含めた話することとなった。

もちろん知らない銘柄のシングルモルトを色々と教えていただき楽しく舐めながら、お手製のつまみも美味しくいただいていたが、ふと明日はバイクで戻ることを思い出し、ストレート4、5杯目で引き上げた。心地よく酔ったが、こんな一見でもすっかり店に溶け込まさせていただき、その新しい出会いにしみじみ喜びながらゆっくり海のほうへ歩き家へ帰った。
5月に20周年とのこと。次回茅ヶ崎に帰った際、会いたい顔があるお店がまた一つできたことに今日は良い日だとぼんやり思い、気がつけば電気をつけっぱなしで泥のように寝てしまった。

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