バイク日和
今年の1月に初めての車検を通した。ということは新車だったので、3年経ったということになる。もう一つ付け加えるなら、バイクの大型免許を取ったのも3年経ったということだ。その間、ロングソロツーリングやキャンプ、都内のカフェスタンド巡りなどをした。「バイクは自由だ」なんてバイク雑誌に書いてあると、なんと語彙のない事かと思っていたが、実際バイクを楽しんでわかったことは「自由さ」だった。寒いし、暑いし、雨に打たれるし、私のバイクの場合はエンジンの熱がフレームにも伝わり夏の渋滞のせいで脚の内腿をやけどまでしている。(なんと焼き跡は残ってしまった!)
しかしそれを大きく上回るほどの喜びがもたらされるので心配はいらない。風を受ける爽快さ、クルクル変わる様々な街の、自然の匂いには敏感になり飽きることはない。音に至っては、エンジンの鼓動が放つ音もいいが、目的地についた時に、エンジンを切った時に訪れる、刹那の静寂と、それに変わって蝉の声や雑踏の音にハッと感じ入るものだ。
年をとったおじさんは一人遊びが多くなるようだが、典型的なそれである。でも仕方ない。勘弁してほしい。若い頃はスクーターさえ乗ることもできなかったのである。ぼちぼちいいではないか。
今日は、冬の寒さが和らいだので、バイクを乗ろうと思うが、どうしよう。行きたいいくつかのカフェに行くことにした。Googleマップに行きたいお店は常時プロットしているので、今日はまず、二子玉川のcafe soul tree へ向かった。昼頃はランチで混んでいるだろうから、午前中の営業時間に朝ごはんを食べる作戦である。店内にも案内されたが、外のテラスは誰もいないので静か。のんびり本も読める。頼んだのはブレッキーライスという男の子大好きご飯だ。
その目玉焼き&ハム乗せおかかご飯をワシワシ食べる。
食べ終わり幸せを噛み締めコーヒーを飲みながら、本を読んでしばらくすると、昼前に一旦準備のため閉めることもあり、新たなお客さんが外で待ち始めた。それをしおに、出発することにした。
そのまま北上して、世田谷美術館に行く手もあったが、所沢にあるカフェまで行くことに。関越を乗って行ったものの、そこはおやすみ。 ということで、次の候補の国分寺cafe slow へ。一般道で清瀬から小平、国分寺へと進んだ。あまり場所を分からず来てみたが、このエリアは私が就職して初めてのボーナスで一人暮らしをしたマンションがある付近であった。
大型のバイクを停めて食事をしに来たのは私くらいで、小さなお子様づれや、カップル、シニアの方が多かった。イベントがあるということで、スタッフの方が恐縮した面持ちでここのテーブルならと案内いただいたが、むしろ、外のテラスでいいですよと、今日2回目のテラス席にした。天気もいいし、時おり吹く風も気持ちがいい。ビーガン仕様のプレート(ミニ豆カレー付き)、コーヒーを頼む。もちろん美味しい。このナゲットも野菜なのかーと驚く。
食べ終わって、終盤に差し掛かった本の続きを大事に読んでいると、先ほど伝えられた、イベントの参加者たちが入ってきた。皆和装をしている。様々な年代、男女の参加者のそれぞれの着物が綺麗でいい感じ。そろりそろりと私が座る場所から次々に店内に入っていく姿は印象的であった。着物は一人一人色の面積がストンと大きいので個々の色味、柄が印象的なのかもしれない。
さあ、ぼちぼちと会計をしに行くと、店内ではピアノを弾いている人がいる。店内もいい感じなのである。
「湘南から来たんですか?」と若い女性のスタッフに会計をしながら言われる。ピアノの音に気を許し、のんびりしていたので、なんで知ってるのか?と一瞬戸惑ったが、そうか、バイクのナンバープレートを見たのか。
「あ、そうなんです。」
「どれくらいかかったんですか?」
「混んでて2時間くらいかかな あ、茅ヶ崎からです」
としょうがない嘘をついてしまった。中野から来たのに。
仕事の都合で、茅ヶ崎から中野に来てまして、バイクを中野に置いてるんです。という事はなぜか反射的に言いずらかった。多分、「湘南から来たんですか!」のキラキラした笑顔の彼女の期待感が眩しすぎて(勝手に)、「いやそうではなくて。。」と一々説明する力が自分には、なかったのである。ごめんよ。嘘ではないものの。そういうことです。
ということで、また行きます。 バイクで。