ある父子の物語り。
昔、ある村に父と子が住んでいました。母親はその子が赤ちゃんの時、病気で亡くなってしまいました。
子供は男の子で5才でした。とても明るく元気で父に優しい子供でした。父が畑で耕している近くでいつもニコニコ遊んでいました。畑作業の帰りは父の荷物を、持ってくれる子供でした。
ある日その男の子は山に父のためにキノコを採りに行って、崖から落ちて亡くなってしまいました。父はあまりの悲しさに泣いて泣いて過ごしていました。つくづく惜しい、つくづく惜しいといつもつぶやいていました。
あまりの悲しさにその父はとうとう小さなセミになってしまいました。。そして森のなかでツクヅクオシイ、ツクヅクオシイ、オシイツクヅクと今日も鳴いていました。
村人たちはいつかそのセミの声が山から聞こえて来るとツクツクボウシと名付けてその父と子をしのんだそうです。