カラスを射つのは嫌い。魘される。
カラスは狩猟鳥であるがなかなか撃ち取るのが難しい。カラスは頭がいいというのは本当である。私が頭上に向こうから近付いてくるカラスを狙って待ち構えていると、もうちょっとで射程距離だ、と思ったところで急にカラスはホバリングをして方向を変えるのである。その目はたいしたものである。だからなかなか撃つことが出来ない。
だがそれだけでなく私はカラスを撃つことが嫌いである。何故って上空のカラスを撃った時、簡単に落ちてくればいいのになんと時代劇の切られた役者のようにやられたとゆう見栄を切るのである。そして俺は殺られた、仲間よ去らばと上空で一瞬停止してポーズをとってから落ちてくるのである。私は素直に落ちてくりゃいいのにと思うのだが、なんか私がとても悪い人のように感じてしまう。
殺られた、恨めしいと落ちてくりゃそりゃこっちが嫌な感じになってしまう。いちいち私はカラスは害鳥であると確認しなければならない。カラスは弱い鳩を捕食する悪漢である。小鳥も襲う。小鳥の雛さえ襲う。駆除していいのだ。
だが恨めしそうに落ちてくるのだけは止めてもらいたい。その日の夢で魘される。カラスのお化けなど夢に出てほしくないのが本音である。だから私はカラスはなるたけ撃たない。