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採った時より美味しい!「山菜保存食」 ゆきがた座談会 「土間クッキング」の関さんを迎えて
ゆきがた座談会、今回は普段ryugonの人気アクティビティ「土間クッキング」で講師を務める関アツ子さんに雪国の料理、特に山菜料理について伺いました。雪国に嫁ぎお姑さんから習って依頼40年研鑽を続けた知恵と工夫を伺います。
ryugon代表 井口 智裕(以下井口)皆さんこんばんは。お越しいただきありがとうございます。12回目の「ゆきがた座談会」今晩はryugonの人気アクティビティ「土間クッキング」から関さんにお願いしました。関さんは土間クッキングの先生として、また宿泊の皆さんの朝食のご提供、そして日曜の夜にはご主人の三味線と共に唄を披露いただくなどマルチに活躍してもらっています。今日はその中でも雪国のお料理と山菜、山菜の保存方法などについて一緒にお話しします。では関さんよろしくお願いします。
関アツ子(以下関)皆さん今晩は。「土間クッキング」で講師を務めています関です。今年76歳です。今紹介いただきましたが本当にこのお宿とお客様にはお世話になっています。毎日楽しくて仕方がないですね。この歳になっても。本当にありがたいです。
土間クッキングはどんなことをするかというと、まず薪窯でお米を炊きます。南魚沼産コシヒカリ、今は新米ですしね。本当に美味しいですよ。それと季節の材料を入れたキノコ汁。この辺は参加した皆さんと一緒に作ります。それと今日ご紹介する山菜。これは春に私と主人が山に採りに行ったものを保存して、一年中美味しく食べていただいています。
だいたい年の半分くらいやっていますね。週に3、4回です。最近はその中で半分くらいは外国からのお客さんです。
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井口 言葉はどうしているんですか?
関 私は英語とかはできないんですが、一緒に料理しているとね。なんだか通じるんですよ。食べ物を一緒に作って食べるってのは不思議とね。心と心がつながる感じですよ。で聞くとね、日本を旅行していても意外と日本の現地の人と話したり一緒に何かしたりって経験はないらしくて喜んでもらえますよ。そんな感じで私も本当に楽しくやらせてもらっています。
井口 ちなみに関さんは出身はこの辺ではないんですよね。
関 はい。私はここより新潟市寄りの平野部の加茂という町に生まれました。全然こんなに雪は降りませんよ。
井口 それでは雪国の暮らしは最初大変でしたか?
関 それは大変でしたよ。昔は今と違って便利が悪くて特に冬は肉も魚もないし、道も雪で埋まっているし、そもそもクルマも今みたいになかったしね。でもとにかくお父さんが好きだったから(笑)一緒になれればどこでもよかったですよ。
井口 (笑)それはよかった。お料理も雪国は違いましたか?
関 全然違いますよね。まず味が濃い。甘じょっぱいものがご馳走ですからね。脂っこいものとか。昔は砂糖や油が高級品だったんです。
井口 そうですよね。それと保存食的な意味もあって味は濃いですよね。今の時代的には健康に悪いような。。(笑) そして保存食についてですが、先ほど関さんが言ったように、この雪国は昔は本格的に雪で閉ざされるので食べるものがないんです。だから冬を乗り切るために保存食文化が生まれました。ただ関さんが採って保存している山菜料理は昔の味が濃い保存食とは逆で素材本来の味、やさしい味わいで本当に美味しいですよね。
関 ありがとうございます。でもね、最近ようやく本当においしくできるようになったんですよ。最初にお姑さんから教わってから40年、試行錯誤してようやくってところです。自分で言うのもなんだけど、今では採った時より美味しいって思いますよ。
井口 実際はどうやって保存するんですか?
関 だいたいまずはさっとゆでますね。それから冷まして冷凍したり、塩をふったり、ゼンマイみたいに揉んで乾燥させたり、種類によります。解凍は流水で3日間。これは昔の人は清水で解凍してたんですね。それを真似して。ただこのそれぞれのタイミングだったり、量だったり時間だったりが本当に微妙なんです。やって失敗しながら身につけるしかないですね。なんと言っても40年かかりましたから。それで種類にもよりますが、だいたい2、3年は保存できますね。
井口 なるほど。。。本当に山菜って美味しいんですが、採るのも、あくぬきなどの処理も、保存も、本当に手間がかかりますよね。
それでは今日はそんな手間をかけた貴重な山菜の試食を用意していただいたのですが、説明してもらっていいですか?
関 はいこちらはコゴミです。春2番目に採れます。これなんて本当に採れた時より美味しいですよ。歯ごたえはそのままだし、余計なえぐみも丸くなってるし。
そしてこれは木の芽、春3番目に採れます。アケビの新芽ですね。ちょっと苦味があってそれが美味しい.
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井口 木の芽って雪国でしか美味しく食べれないんですよね。関東とかだとすぐに固くなっちゃうんですが、雪国では雪解けの時期の関係で柔らかいままで。本当に先っちょだけなので高級品です。
関 美味しいですよね。そしてこちらが柿なます。お正月料理のなますに干し柿を入れています。これがいい味を出すんですよ。
そしてこちらがうど。うどはやっぱり山菜の王様ですね。私はうどが一番好きかもしれません川から茎から葉っぱまで、全部それぞれ美味しいですね。よくスーパーで売っているものは里で作った白いうどだけど、山で採った山うどのおいしさは格別ですね。
そしてこちらはわらび。わらびも最高ですね。さっとゆでて塩漬けにする方法と、ゼンマイのように干す方法とどちらもします。
井口 へーわらびもゼンマイのように干すって初めて聞きました。
関 干したわらび、美味しいですよ。あのわらび独特の歯ごたえもそのままです。そしてこちらは棒鱈です。これは昔風に甘じょっぱく味つけています。
井口 棒鱈は雪国の郷土料理なんです。山の中でなぜ鱈?かと言うと、江戸時代に日本海側を京都から北海道へ各地の特産品を運んでいた北前船によって雪国にもやってきたんですね。冬の間の貴重な保存できるタンパク源です。身欠にしんも同様ですね。
・・とついつい話が長くなったんですが、そろそろ皆さん食べさせてほしいってところですよね(笑)こちらに関さんに用意いただいた諸々。ぜひ食べてみてください。
関 山菜ではないんですが、新潟の郷土料理の「のっぺ」もお召し上がりください。かつお、昆布に貝柱のだしであっさり目につくりました。
[試食タイム]
参加者から「歯ごたえがとても良い」「初めてこんなに山菜を食べた」「全然くせがなくて美味しい」との声があがりました。
埼玉からのお客様
「以前一度宿泊した時の山菜料理がとても美味しくて参加しました。本当にどれも美味しかったです。」
静岡からのお客様
「春に採った山菜を冬に食べるっていうのが面白いですね。しかも本当に新鮮なおいしさに感じます。」
井口 皆様今日はお越しいただきありがとうございました。ぜひ関さんの「土間クッキング」や、春に支配人の小野塚が山菜採りに案内する「山菜ツアー」などにも参加してみてください。