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The Climb / ザ・クライム

Pearson English Graded Readers の Level 3 / The Climb。

ふたりの男性それぞれが、今まで誰も登ることができなかった険しい岩壁を、登るか登らないかの選択肢の中での迷いや葛藤が描かれています。
ひとりは登りたいけど登れるかどうか、クライミングに大きなトラウマを持つもうひとりは登りたくないけれど登らなければならない状況を受け入れるかどうか、そして登ることができるかどうかで葛藤します。

彼らはそれらの葛藤の末に登ることになりますが、登ることになった経緯や、登ることによって起こったことが、それまで接点のなかったふたりがその岩壁と向き合う中で交わることになりますが、その交わることになったきっかけの描かれ方が素晴らしく感じました。登ることによってふたりの心がどのように変化していったかも含めて。

印象に残った単語は、nerve でした。
神経の意味ではなく、度胸という意味で使われていました。辞書で調べると、nerve の3番目の意味でした。以下、Oxford Advanced Learner's Dictionary の辞書における定義と、この本の中で nerve が使われていた箇所の抜粋です。

nerve [noun]
/nɜːv/ /nɜːrv/
the courage to do something difficult or dangerous

Now he watched a boy on a cliff. A boy who had no fear of climbing. A boy who still had his nerve. David Ashken wanted to be like that.
今、彼は崖の上の少年を見ていた。クライミングを恐れない少年。まだ度胸のある少年。デビッド・アシュケンはそのようになりたかった。

Oxford Advanced Learner's Dictionary
Pearson English Graded Readers Level 3 / The Climb


わたしはかつてひとりで頻繁に山に入っていました。しかも、通常ほかの人とは少し異なる方法で登ることを選んでいたので、ルート状況や天気や時間や自分の体力と相談しながら、自問自答しながらでした。これほど怖がりで慎重な性格の自分でも、やりたいことのためにはこれほど大胆な性格に変わることができるんだなと我ながら驚きながら山に登っていました。

この本に出てくる彼らは死ぬか生きるかの命の危険が伴う岩壁です。それは、複数の人が命を落とした岩壁です。わたしの場合は時には何時間も誰ひとりと出会うことがなく電波も通じない山深い道をひとりで歩いたこともあり、命がかかる危険と隣り合わせなことを体験したこともありました。そのような、どこか共通点のある体験をしていたので共感できる部分がありました。ストーリーが面白かったこともありましたが、そのような気持ちを感じるときは特に、英語で本を読んでいることを忘れさせるほどでした。


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