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ナップサックを背負った青年と私

取材帰り、駅の改札を抜けると、前を歩いていた青年が振り向き目が合った。ジャニーズ事務所に所属していそうな、整った顔立ちの青年だ。髪は茶色で、毛先がツンツンとあらゆる方向に向いている。おしゃれだ。

青年はすぐにぷいっと前を向くと、地上へ抜けるエスカレーターに向かって歩きだした。わたしが目指す方向と同じである。距離を保ち、のんびりと後ろを歩いた。

彼は腰より下のあたりでダボダボの黒いジーンズを履き、体より3倍くらい大きな真っ白のTシャツを着こなしている。「ナイキ」とデカデカと書かれたナップサックが、紐を最大限に延して腰のあたりで揺れている。

ーーB系のファッションだ。ナップサックって小学生の頃に流行った記憶があるけど、また流行ってるのかなぁ。

一瞬、駅に集う人々を見渡す。背負いカバンはどれもリュックサックばかりだった。

ーー友達か彼女と遊ぶのかなぁ。コロナで大変だけど、楽しんでほしいなぁ。

そんなことを考えていると、地上に出た。彼は雑踏の中に意気揚々と消えていった。


ナップサックが印象に残り、家に帰ると検索した。やっぱり「外しアイテム」にナップサックが流行っていた。

▼2019年12月の記事

▼2017年の記事

私からすると、ナップサックは小学校の家庭科の授業で裁縫した、初めて手にした「大人っぽい」アイテムだ。だから今は、「小学生の頃の」アイテムとしてナップサックの記憶がすり替えられている。

このおしゃれアイテムは私にはまだハードルが高い。手にするのは、まだ先のことになりそうだ。

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結井ゆき江/ゆきどっぐ
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