【短編小説】来世は人間がいいなぁ
「あーあ、来世は猫になりたいなぁ」
わっちの主はいつも、いつもこんな言葉を吐いている。窓の外が青白いうちに外に出ていって、窓の外が黒くなる頃にわっちのもとに帰ってくる。目の奥が黒く、パリパリと乾燥した唇。少しぐったりとして帰ってくる。
そんなにもなっちゃうくらい、楽しい事がお外にはあったのだろうか。毎日毎日、空の色が変わるほどまで遊んでいるんだろうか。
こっちは暇で暇で、10度寝くらいしているというのに…。暇ってけっこう楽しくないんだよ?寂しいし、お腹は空くし、お家はなんにもない。毎日毎日、主と遊ぶことしか生きがいがないよ。
人間ってのは、自由に生きていて楽しそうだなぁ。色んなご飯食べれるし、なんだかカッコよくなったりかわいくなったり楽しそうなんだもん。
最近は、同じようなのばっかり着てるケドね。でも、それも似合っていてカッコイイね!
わっちが人間になったら、空が青い時は自由に空で遊んで、黒くなった時には素敵な人たちと一緒に色んな料理を食べるんだっ!
でも、今は主の顔を見てるだけで割と幸せなんだよね。主、わっちを好きで好きでしょうがないみたい。しょうがないなぁ。
主は、今日はどこで遊んできたのかな?
好きな子とデート?美味しいご飯?みんなでお話? わかった!! 気ままにお散歩だ!
いいなぁ、わっちも連れてってほしかったなぁ
「あーあ、来世は人間になりたいなぁ」
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