インタビューウィズ地底人⑨
(おさらい)「私」の夫は地底で暮らす吸血鬼。地上の夫には彼の分霊が入ってる。そんな地底の夫との会話の記録)
私
「吸血鬼は長生きすぎて、時代の変化についてったりするのは大変じゃないの?」
地底人
「ニューオリンズが誇るホラー作家、アンライスの小説に出てくる吸血鬼たちはみんなその点において苦労してるよね。そのこと?」
私
「そう、洋服の好みとかが古いのを、主人公レスタトが嘲笑ったりとかしてる」
地底人
「そんなの君ら人間だってそうじゃないか。たかだか100年に満たない寿命だというのに、少し年上の老人を愚鈍と思ってすぐ嘲笑う」
私
「別にそんな人ばかりじゃないと思うけど」
地底人
「言っとくけど地底世界は君たち人類よりずっと前に、棲み分けを徹底して平和を手に入れた。高度なテクノロジーはだから、地上よりも早くから導入されてる」
私「たとえば?」
地底人
「地上でのSiri登場より何百年も前に、思考を読み取って文章化できるようになったり」
私「すごい」
地底人
「だから僕は未だに一本指打法だよ。地上のコンピュータに対して。使ったことないけど」
私
「私も一本指打法。iPadしか使わないけど」
地底人
「あと僕はほぼ一日中、寝るとき以外は神官衣装しか着てないから。私服はあるけど着ないうちに時代が進んじゃうから、それだって地上でいうところのスーツのようなものしかないし」
私
「今の地上の夫と同じような感じだね」
地底人
「だから、君の夫には僕の分霊が入ってるんだってば。ほとんど同一人物だと思えばいい」
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