地底に棲む吸血鬼の一部情報開示
吸血鬼夫
「君はどうも、朝になると分離意識に苦しみだすね」
私
「孤独感ね。夜に作業してるときは夢中になって、意識が肉体のそとへ拡大した状態でいられるんだけど、寝てる間にクタクタの脳味噌を回復させられてない感じがする。要は肉体に振り回されてるってこと…だよね?」
吸血鬼夫
「きのう…というか、早朝に、僕が君にヒーリングっぽいことやったのわかった?」
私
「いや、ぼんやりわかったけど、ヒーリングっぽいというか…SM小説風のシナリオ送信じゃなくて?朝メモるのが大変だよ」
吸血鬼夫
「送信は毎日してる。そうじゃなくて。ヒーリングしたから、3時間睡眠だったのに子どもたちとお出かけできたんだよ」
私
「それはありがとう。ほんとに最近、肉体が丈夫になりつつあるよ。ところで」
(吸血鬼夫、いつもどおり無表情)
私
「今朝の話。あなたはやってきたけど、目が…正確には、瞳孔の部分が真っ赤な状態で現れたのはなぜ?」
吸血鬼夫「なんでだと思う?」
私
「質問を質問で返されるとモヤっとするなあ〜ええと…自分の外見の、本当のところを少しずつ開示している?」
吸血鬼夫
「そうなんだよ。地底に棲む吸血鬼は人間らしい状態ではなく、ナチュラルな状態だと、かなり特殊な姿だから、少しずつ情報開示してるわけ」
私
「以前地底人に会った人から聞いた話によると、地上においては、目が充血してしまうらしいね?」
吸血鬼夫
「それは吸血鬼ではないけど、一般的な地底人だね。地上では太陽光のせいで白目部分が赤くなる」
(地上と違い、地底は人工太陽)
私
「吸血鬼ってナチュラルに超絶無表情だから、瞳孔が赤いわ虹彩部分(瞳孔周辺)は薄いわ…もう本当に映画の吸血鬼だなと思ったよ」
吸血鬼夫
「君は怖いと思わない?グロテスクだな、とか」
私
「爬虫類飼える人だったら平気じゃない?私はけっこう、飼ってる人だよ」
吸血鬼夫「………」
(私が飼育中のヒキガエル、イシガメ、リクガメ、ヤモリ、カナヘビのことか…と、吸血鬼夫の思考にビジョンが浮かびあがる)
私
「でも正直、一瞬…悪魔みたーい!とか思ったよ」
吸血鬼夫
「あんな愚鈍なだけの霊的存在と一緒にしないでほしいな」
私
「今日も絶好調だね?」
吸血鬼夫
「ふん。悪魔は感情的で、拙いやり方で他者を支配する生き物だ。僕は特に支配はしない」
私
「そうだっけ?あ、いや、あなたを支配的とは思ってないよ。高圧的だなと思ってるだけで…別にそれも、短所と思ってないし。個性だよ。正直でいいんじゃない。
それはおいといて。目が赤いの見たときは、私を脅してるのだろうか?とも思ったんだけど、なんか違うみたいだなって。テレパシーでのやりとりはたまに、間違えそうで、嫌だねえ」
吸血鬼夫
「他には何か印象的なことはあった?」
私
「あなたがかなり大きな家系?血族?なんだなと思ったよ。そういう象徴的なビジョンを見たと思う。大きな家、古い家具」
吸血鬼夫
「転生コースの血族たちの魂は、今や膨大な数になる」
私
「あなたの他に血族内に吸血鬼はいるの?」
吸血鬼夫「どう思う?」
私
「いると思う。あなたの乳母とか…でも、私はその姿を見たわけじゃない」
吸血鬼夫
「他のみんなはべつに、わざわざ君のところへはきてないからね。彼らの意識もダイレクトにここにきてないだろうし。せいぜい上空から見下ろしてるくらい。先祖霊のバビロニア母くらいじゃない?直接君にコンタクトとったのって」
私「そっか…」
吸血鬼夫
「でも僕の他に血族がいるのを感じとってるなら、まあまあかな」
私
「そういうのも認識できるようになったらいいわけね」
吸血鬼夫
「意識が拡大した状態が通常の状態になるといいね」
私
「それは私に、毎朝訪れる分離不安を、少しでも減らしてくれるのかな?」
吸血鬼夫
「多少影響はあるよ、たぶん」
ここで今日の会話は中断。
ご支援いただけると幸いです。 よりよいものを創造していけるよう、取材や制作に使わせていただきます。