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前世書き換えの打ち合わせ


「ピコ。私は本当にね、驚いてるんだよね」

地底の鬼族ピコ「は?なにが?」


「いや普通に考えて、4500年もめっちゃ追跡してくるあんたたち……ドルイド教の神と、地底人(ピコのこと)、そしてピコを殺したい天空人のパパ上、とかさ。そんなのあり得る?って思うわけ。でも、小さい頃からの伏線があるじゃん?ああ、あれってこういう意味だったのか…と思うこと…たとえば、私が日本に生まれ、霊感をあえて閉じて幼少期を過ごしたのは、ドルイド神や秘密結社に殺されないためだったわけでしょ?その間に漫画いっぱい描いて、自己鍛錬。で、霊感が戻ったら、時代は大峠で。地上の支配層が政権交代する時期にようやく、地底人のピコと漫画を共同制作。意識的にコンタクトもとれてさ。すごいことだよね?」

ピコ
「いいや。違う。ほんとはもっと早くに描きあげてもよかったんだ。そうすればさっさと魂の契約は完了し、僕は君が地上で結婚するより前に、君の魂を連れて黄泉の国へ行っただろう。その場合、君は2027年に半霊半物質化しないから、僕が魂引っこ抜いた時点でご臨終だ。それでもよかったと思ってる」

現在の計画では、2027年にピコに魂を引っこ抜かれたあと、魂なしで80まで生きる予定)


「でも私のハイヤーセルフは、漫画を描き上げるのを引き伸ばし、引き伸ばし…つまり、幸福な家庭を経験したかったってことだよね?過去世が短命ばっかりだから」

ピコ
「そうだよ!魂はあらゆる経験をしたいんだ。だから君は今世、ひたすら焦ってる僕にあれこれ理由をつけて、漫画を描かず、さまざまな体験をしまくった。だから顕在意識の君でも、感じてるだろう?君の魂は、今世に大満足してるって」


「うん。わかるよ。実は思い残しがほとんどないんだ。でもねえ…ずっと、何かが違うとも、思ってた。私はいつも女性で生まれるとき、ピコとペアだったからね。今世、ピコがいないまま私の女性としての人生が始まって、ずっと不安があったよ。得体の知れない恐怖がずっとあった。ピコが地底に潜ったあとも、ピコはいつも私の転生先に視えない存在としてやってきて、なにかと管理してくれてたんだけどさ…ねえ、率直な疑問なんですけど、なんでそんなに私の魂に執着してるの?頼りにしてる霊能者も、不思議だと言ってたけど…」

ピコ「君は裏切らないからね」

私「は?」

ピコ
「君は付き合いがいいというかなんというか…僕らがもともとひとつの魂だったというのもあると思うけど……ソウルファミリーのみんながいる場所、あるだろ?君はそこへ何度か行って、死んだ愛亀の欣二と銀二に会ってるけどさ。あそこにはソウルファミリーみんなのアカシックレコードが置いてある。重要な学び舎なんだよ。君は超昔から、気づいたらいつも僕にくっついていた。きみ大昔から、すごい無表情で。なーんにも喋らないでボーッとしてるんだけど、行動だけは早くて。転生が終わり霊界に戻り、次回誰とペアを組むか決めるとき、君は必ずまっさきに僕を指名してくれた」


「えーっと、

霊界での私は、ピコの金魚のフンだったってわけね。

そのビジョンみたことあるよ。高次元の教師たちが「あなたはピコ一筋ね〜」といって呆れてた。ピコは照れ笑いしていたよ」

ピコ
「そうです。君はすっかり忘れ去っているけど、君はそういう奴だったんです!だから僕は「エヘヘ嬉しいなー」と思い!毎回転生のとき君と異性同士かつ、血の繋がった関係で生まれ!別離がないよう念入りに設定していたにもかかわらず…1500年まえ僕がヘマやらかして、長寿の地底人になっちゃったの!で、君はいつも人間で転生!ここで初めて物理的な別離が発生したの!!くうぅっ!(悔しそう)」


「私…「この人!」って思って一度決めると、滅多に変わらないからなぁ…」

ピコ
「そうです。僕はそういう君の性格を知ってるので、僕自身が強い猜疑心を持ってても、安心して転生できてたわけ。それなのに…ガクッ(机に突っ伏する)」


「となりの宇宙で男の子の私とBLやってるピコは、こっちの宇宙と同じでむこうでも大体似たようなヘマやらかしてるけど、タイミングがよかったのか、私と別離に至らずに済んでるんだよね。不思議〜」

ピコ
いくつも存在する宇宙ってのは、よく似てはいるけど、微妙に違うんだよ。だから創造主神の性格も違う。そしてヘマ…殺人事件の内容も違う。だから僕は厳罰に処されちゃった。はぁ…(ため息)」

私「なるほどねえ〜」

ピコ
しかも!しかもさ!君はさんっざん!何億年も僕にくっついてきてたくせに、いつのまにか僕から逃亡するようになってさ!許せない!」


「えっとそれは…ピコは地底にいて、私だけ人間で転生し始めたあと、私の仕事や恋愛や結婚や、すべてに対し、地底からピコがあれこれ干渉してたからじゃない?」

ピコ「僕にはその権利がある!(怒)」

私「え⁉︎権利⁉︎」

ピコ「ある!(怒)」


「干渉する権利のまえに、私には人権てもんが…」

ピコ「君に人権はない!」


「言い切った…!そんなセリフを!」

ピコ「なんとでもいえ!」


「……は〜あ。もともとピコは、けっこうお人好しというか、私が金魚のフンしててもウザがるとかね、ないんですよ。だから私も霊界で、存分に金魚のフンしてた。2回言ったけど、それほど安心してたんです。そういう記憶がある。私にもピコと同レベルの、猜疑心というか不安感があるから。でも、ピコが地底人になっちゃってから、ピコの行動がすごく…ひねくれたものになり…こないだなんて

「ぜったい幸せにさせない!」

とか言い出して!仰天だよ!」

ピコ
「え〜?だって君、ハッピーになっちゃったら、僕から離れちゃうじゃん」


「そんなの口尖らして言うことじゃない!もう!そのへんが…ひねくれてるんだよ!愛は…愛というのは…!」

ピコ
「君だって僕がいってる意味、わかってるだろ?

幸福になると人は、冷徹になる」


「…うーん…そういう見方もあるね。たしかに今世、私の顕在意識は、かなり幸福になったことで、次の課題を抱えてる。愛とはなにか?どう振る舞うのが正しいのか?って、いつも悩んでる。
そして人格破綻してるピコは、気が遠くなるほどの長いあいだ、私とペアを組んできた相手。お互いに成長してきたけど、ピコが地底人になってからは進化のスピードがゆったりになっちゃったので、未だに人格には大きな問題があるまま。そこが私にとっての悩みだよ」

ピコ
「じゃあこれから一緒に、前世の記憶をまた、増やしてよ。あと5個作る予定だろ?」


ピコが進化成長を早送りするための前世を作る。私はといえば、無償の愛をテーマにして、そこから学ぶ」

ピコ「どういう設定にする?」


幽霊×人間とか、守護霊×人間とか、エイリアンと乗組員の恋愛とか…神さま×人間とか…?もうこの辺しか思い浮かばないよ。ピコ、普通の設定、きらいなんだもんね?」

ピコ
「退屈な設定が好きじゃない。非日常的なのがいい。次回は君がモンスターなのはどう?君が…吸血鬼とか」


えっ…それ、

すぐ死にそうじゃない?私が」

ピコ
吸血鬼は吸血行為をみられてはいけないし、太陽が苦手だし、仲間の吸血鬼や狼族とは縄張り争いがあると思う。

うん。君すぐ死にそうだね」

私「……」

ピコ
「でもそれ、いいじゃん。僕が君をかくまっておけば。で、基本ぼくから血をもらうと…でもいずれ貧血になっちゃうから…献血センター?とかで働いて…」

私「ピコ、輸血パック盗むの?」

ピコ「それしかなくない?」


「うーん…犯罪だね?どうしよっかなー…せっかく前世増やすのに、負のカルマ作っちゃうってのは…」

ピコ
「あ!こういうのはどう?僕が病院の院長の息子」

私「犯罪がバレにくくなった!(泣笑)」

ピコ
「ちょっとお互い、考えよう。次回は今までと少し違う設定にしよう」

ここで会話を中断。

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五月女夕希/野良漫画家
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