見出し画像

地底人と前世を増やす。4つめ。


「さいきんピコは落ち込んでるよね」

地底の鬼族ピコ
「うん。すごく落ち込んでるよ。僕は自分をみっつに分けていて、プライベート用、仕事用、ご神事用とあるんだけど…君とコンタクトをとっているプライベート用が…まるで死人のようになってるから。仕方なく、仕事用の自分でいま、君と話してる」


「さっき慰めるためにプライベート用がいるそっち(地底)いったけど、あまり効果なかったみたい」

ピコ
「仕方ないんだよ。何億年と、いつもつるんでるソウルファミリーの中で、僕だけが超長生きの地底人(鬼族)にさせられちゃったから。
ソウルファミリーのほとんど全員が、前世やソウルファミリーの記憶を消して、生まれ変わるじゃん?生きるのに必死で、死ぬまで霊界を思い出すことはない。でも僕は、地球外も含む前世すべての記憶を、持ったまま。
その中で、唯一きみだけがわりと霊感があるから、転生のたびなんらかの方法で僕を思い出してくれるけどさ…」


今世は私とピコと創造主神との契約の、最終回だから。意図的に30歳まで、霊感を完全に閉じてたからね。42歳でやっと、ピコが実在するということを思い出せたけど…」

(ピコと私の共同制作で漫画を描きあげたら創造主神に奉納する契約)

ピコ
「はーあ。去年死んだ愛亀の欣二と銀二に、心底感謝してるよ。あのふたりが死んでくれたから君は、24時間ずっと意識が霊界に向くようになった。つまり、視えない世界に集中するようになった。つまり、あのふたりが死期を早めてくれたから、いま僕は君とコンタクトとれてるんだ」

(もともと欣二銀二は2025年に亡くなる予定だったが、私の霊感がなかなか戻らなかったため、ピコがふたりに頭を下げて、2年死期を早める交渉をしたという裏話がある)


「でもピコは欣二銀二に、超嫉妬してたんでしょ?」

ピコ
「もちろん!とくに君と縁の深い銀二は、かつてなんども、友達、父親、保護者という形で関わってたから。不具になった君を引き取ったりもしてさ。なんなんだろうね?ふたりのその、無私の愛情って?羨ましいったらないよ」


「欣二がいってたよ。銀二と私は性格が湿っぽいって。そーいうとこ、似てるんじゃないかな?でも私と違って銀二の方が、スマートだよ。欣二と一緒で、頭がいいっていうか

ピコ
君はいつでもお馬鹿だもんね。魂は僕と同じで古いはずなのに、どうしてだろう?まあ、いいけど。君がもし頭よくなっちゃったら、僕にとってはそのへんの群衆と同じにしか見えなくなるだろうし」


「そのへんの群衆!(泣)」

ピコ
「馬鹿というのは魅力のひとつだといっておくよ。はーあ(ため息)」


「それって褒めてない!(泣)もう。話を変えます!
ピコさ、さっき一緒に、前世を増やしたじゃん?」

ピコ
「うん。時代は平成初期あたり…かな?パラレルを一個増やすようにしてみた。今度は僕らが、父と娘という設定で」


「流れに任せていきあたりばったりでシナリオ作って、その前世を映画館で上映しながら、ふたりの成仏までを制作したね。で、全体的に感想はどんな感じ?」

ピコ
「うーんと…おもしろかった!率直にいって。だって、すごく馬鹿馬鹿しいんだもん。君が娘役、僕が父役だったけど……娘、あまりにくるくるパーで、絶望的なまでに男をみる目がないし。僕である父親も、終始まともな役回りのはずなんだけど……客観的にみると、娘に手を出す狂ったお父さんだし。そもそも最初から最後まで一貫して娘が変すぎて、どうしようもなく巻き込まれていく父親が哀れにすら感じられて……ギャグとして成立する長編AVみたいだった」


「私も途中からAVのようだなと思ったよ。あまりにくだらないから。だって娘の歴代彼氏が全員、チンピラみたいのばっかでさ……いくらなんでもあんな人選はないよね。わざわざ両肩に刺青入ってる人を選ぶか?という。どこで出会うんだよ?という問題もあるし。ツッコミどころは多かった。でも完成させちゃったけど。
私たちさ、上映しながらシナリオ作りながら鑑賞もしてたわけだけどさ。あれって無意識に、ピコと私で共作してるんだよね?」

ピコ
「細かいセリフ回しは、そのつど僕がきみにインスピレーションを送った。ただ娘は…

あんなにアホにするつもりはなかった。

あの娘のセリフ回しの部分は、けっこう気を使ったよ。あまりにおかしなこといわせると、父親を娘の狂気に巻き込むことができなくなるじゃん。でもちゃんと、父親に責任とらす方向にいくために、娘にはわかりやすく…」

「パパ以外じゃダメなの!

って泣いて、いわすと……」

ピコ
「そのセリフが説得力を持つようにするためには、娘の歴代彼氏がどうしようもない人物ばかりである必要があった」


「でも大学時代に、ひとりだけまともというか、真面目な文学青年と付き合うんだよね?でもどうしてもうまくいかない…」

ピコ
「そりゃー彼女が寝言で…う〜ん…パパ〜ン…とかいっちゃったら、

この子パパ活してんのかな?

とか……そういう疑いを持たれても仕方ない……まさか実父のことだなんて思わないよね。誰も。この平和な日本では」


「ピコと詳細な打ち合わせをしなかったのに、上映してみたら、わりと細かい部分にも説得力がでたというか。それでいてとてつもなく馬鹿馬鹿しくて。いちおう娘も父親も、一生懸命生きてる設定にしたからね。悪役はまったく、いない。ここ重要だよね。
そしてこれは、一種の前世療法みたいなもののはずなんだけど…終始笑いが止まらなかったね。でもあまりにくだらなくないかな?と不安に思って隣に座ってるピコをみると、なんか…やたら食い入るように、液晶画面みてるからさ…」

ピコ

「だってあれ、AVだから。

結果的にAVになっちゃったから。

僕らの新しい前世に、AVが加わったんだよ。

くだらなすぎて笑えるんだけど、ゴールデンタイムには流せない。そういうやつが」


ピコ、真顔で……しかも大文字でAVって言い切っちゃったね。でも予想外にいい方にいったと思ってるけど……どう?」

ピコ
「めっちゃいいと思う。普通に娯楽作品だった。そしてラスト……父親80で死んで、娘が65で死んで…いつも通り北極老祖(根源神のところで働く仙人)にお迎えに来てもらったね。最後は眩しい根源の光に入ってもらって。成仏にはなんら問題はなかった」

(北極老祖は欣二銀二のお迎えのときも来てくれた。それ以来、未成仏の自分がいる前世療法などではよく来てもらっている)


「ただちょっと気になることがあって。馬車に乗りこむお父さんに「一生かけて娘をハッピーにできたからあなたは罪人ではない」といったけど、あれで大丈夫かな?近親相姦という罪悪感が、あるよね?」

ピコ
「う〜ん。大丈夫じゃないかなあ。娘がくるくるパーすぎるから、娘が不幸な結婚するよりも、父娘でなかよく暮らしちゃったほうが娘にとっては安全という解釈ができるから…というか…あれ…僕だからさ!自分にとって都合よく解釈して、無事天国いったと思うよ。間違いない」


「自分のこと、都合よく解釈する人間だと言ったね…ピコ…」

ピコ
僕は君のように、物事をこねくり回して考えたりしないんだ。シンプルなの。無駄が嫌いだからね」

ここで会話を中断。
仕事用のピコは11月あたりから、スターウォーズのダースモールという赤鬼みたいなキャラに扮しています。
私がダースモール姿のピコを好まないので、仕事専用にしてたらしいんですが、プライベート用のピコが鬱になっているので、今回はダースモール姿のピコとコンタクト。

仕事用のピコいわく「プライベート用はあくまで私的な自分自身なので、孤独感とかが強くなると普通に鬱になる」のだそう。
解決策は?ときくと
「しょっちゅう地底にきてね。あとパパ上と連絡とらないで」だそう。

私がピコと話すために地底にいくと、パパ上が何度も追いかけてくるので、この記事の直前に何度か口論しました。先が思いやられます。

いいなと思ったら応援しよう!

五月女夕希/野良漫画家
ご支援いただけると幸いです。 よりよいものを創造していけるよう、取材や制作に使わせていただきます。