吸血鬼と奴隷
私
「あなたこないだから、うちに見回りにくる回数減ったでしょ」
吸血鬼夫ピコ「そんなことないよ」
私
「夫婦からセフレに降格気分に設定(ややこしい)したぐらいで、なんなのさ?」
ピコ
「誤解だ、君の家に行く回数は減ってない。ただ、意識の持ち方として…君が僕の所有物ではなくなったことに少し落胆しているかもね」
私
「夫婦が所有物?契約だから?」
(婚姻契約は継続中、気分だけ婚姻中止中)
ピコ
「時代遅れだっていいたいんだろ」
私
「時代というか、そもそも恋人や配偶者を所有物として捉える考え方はどうなの?」
ピコ
「うるさいなあ、僕は古い男なんだよ…4500歳なの!かつてはその…古い考え方で、女性に喜ばれた時代もあったわけ」
私
「うーん、まあ、そうか…昭和の少女漫画読んでもそういう概念は散見されるか…」
(いくつかの女性向け漫画、少女漫画を思い浮かべる)
ピコ
「それに僕は、人間関係においていつだって、支配する側がいいの。いつでも思ったことを言いたいし、言いなりになってほしいんだよ。だけど今回は、君から提案したことを僕が受け入れる形になっただろ。だから…」
私
「ピコはほんとに、正直だよね。そこが長所なんだけど」
(ピコ、肩をすくめる。口をへの字に結ぶ)
ピコ
「ところでこの間のことだけど…君は正神界の神仏がいうことを信じたい、という話について」
私
「神仏に、あなたとの契約を果たせって言われてる件ね」
ピコ
「そう。君は僕を悪魔じゃないかと疑っていた。でも神仏は僕との契約を果たせと言ってくる。じゃあ、悪魔じゃないのかもしれないなって、信じたい君がいる…。僕の意見を言おう。
それがなんであれ…悪魔であれ、信じて貫いてみないとその先にいけないじゃないか?人生は短すぎて、あっというまに儚く過ぎ去る。日々喰って寝るだけなら死んだほうがマシだろ?そして君もさんざん転生を繰り返してきたから、それを知っているはずだ。新しい契約のために僕と、血と内臓を交換した君の勇気を愛しく思うよ。僕らは創作の奴隷だ!」
私
「あなたの言葉はいちいち刺さるよ。さすが毎晩SM小説風シナリオを送信してくれるだけあって、言葉が次から次へと…本当に、私はあなたの面倒見のよさに感謝しているしね。あなたが思うより、あなたは優しいよね」
ピコ
「僕は自分の利益を追求してるだけだよ」
私「あなたの利益って?」
ピコ
「新しい感性と出会い、共同制作し、創造主神に作品を捧げること。だって僕は、創作の奴隷だもん」
私「なるほど…」
ピコの一貫した意識。
ブレない目的意識。
今後はもっと意識的に、頼っていこうと思う。