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吸血鬼ととりとめのない話

私「最近気づいたことがあるんだよ」

地底に棲む吸血鬼の夫ピコ「なんだい」


「ピコは、私の地上の夫とそっくりだね?」

ピコ「ああ、うん?」

私「言動が…」

ピコ
「そりゃそうだよ。彼には僕の分霊は入ってるわ、物理的にも子孫だし…そもそも僕が君のためにわざわざ連れてきたんだから。思考体系が似てなかったら連れてこないよ」


「なるほど…ピコの分霊入りってことが地上の夫へ及ぼす影響ってあるの?」

ピコ
「ある。なにか決断を迫られたとき、僕が信号を送ることがある」

私「…へえ〜!」

ピコ
「でも男性同士なので…基本的にはほっとくけど。失敗も成功のうちってことで」

私「そっか。あ、ねえそういえば…」

ピコ「なに」


「4500年まえに一夫多妻制だった、シュメール時代のあとの話を聞きたいんだよ。ピコは人間として最後の時代を終えたあと、地底人になるんだよね?」

ピコ
「そうそう。前身のシュメール人だったときも魔術を使ってたけど、地底でも神官やって魔術を使ってた。いつも魔術、呪術を使ってる」

私「その地底人の時代は…私と出会ったあとに…」

ピコ
「君とはねえ、いろいろあって…細かい説明はおいおいするけど、君はとても若くして死んじゃうんだよ。そんで、取り残された僕は半分キレながら君の魂を追跡してたってわけ」

私「キレてんの?」

ピコ「キレてる。毎回きみ、無計画だからね。事前に相談もないし」

私「……(でへへ)」
(地上の夫にも似たようなことをよく言われるなと思うのであった)

ピコ
君のいく先々に僕の分霊を入れ、君にも分霊を入れ、地底から…家族の守護という意味もあって、常に動向を捉えてきた。君の地上の夫もそうだよ。彼は物理的子孫だしね」

私「そっか…」

ピコ
「君は今の自分の人生が、何のためにあるのか知りたいんだろ?本当に漫画を描くためだったのかな?と」


「うーん、たまにわからなくなるんだよ。私は生い立ちがあまり…毒親育ちで、父に住所も教えてないしね。でも、とても恵まれてるとも思ってて…こんなに願いが叶い続けてていいのかな?って。父にも感謝してるんだよ。生まれてよかったもん。でも、それでも、何が目的で生きてるんだろう?って、ふとした瞬間に考える。漫画描くのが生き甲斐というだけじゃ、満足できないのかなあ…」

ピコ
人生は分離と統合の繰り返し。君はけっこう長いこと分離していた。それが今世で統合するんだよ。もう君にとっての探索、冒険、そして争いの時期は過ぎた。いったん故郷に帰るんだよ」


「不思議だね。私は今世で人間を卒業したいなんて微塵も考えてなかったのに」
来世は地底人になり吸血鬼化する予定

ピコ
「今世で人間を卒業でいいかな〜なんて言ってる連中は、所詮は生きるストレスにウンザリしてるだけだから。それってまだまだ課題が残ってるってことじゃない?」

私「なるほどねえ…」

ピコ
「なんのため…なんのために…生命はさまざまな体験をしたい。憎み傷つき絶望したい。救済したいし救われたい。愛を知り、やがては自分自身が創造主神になる。そこが最初のゴールだ」


「じゃあまだまだ私たち、赤ちゃんじゃん」

ピコ
「そうだよ。僕だって光側を経験したあと、今の闇側へきて…次は…わからないけど。グレーゾーン、複雑な方に行くのかもしれないし。とにかくたくさんの経験をし続けるんだ」

ここで会話中断。

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