インタビューウィズ地底人⑥
(おさらい)現在地底で生きている吸血鬼は「私」の夫。地表で一緒に暮らす夫には彼の分霊が入っていて、今までも昔もずっと、ともに生きてきた。「私」は大昔にこの夫とともに創造主神に捧げる作品を共同制作するという契約を交わしており、この世に散らばる「私」の分魂たちは皆、彼の分霊とペアで制作し続けている)
私
「吸血鬼は、地底人は、肉体をもっているの?」
地底人
「組成が違うだけだよ。君は目の焦点をずらせば、大気中のプリズム運動を見ることができるだろ。あれが低い周波数で凝り固まったものが君たち人間の肉体。僕らは人間よりもっと違う仕組みで組成される。だから同じ空間に存在しても互いを肉眼で認識できない」
私
「じゃあやっぱり、特殊な練習をすれば肉眼でもあなたを見れるかもしれないってことね」
地底人
「見るなよ。前にも言ったけど、僕は表に絶対出ない。君はその目で見たものはそのまま描こうとするだろう。それはつまり、僕自身を地表に上げるってことだ。それはしないで。僕は常に君の裏方なんだから」
私
「脳内で、松果体で見たものだけで我慢しろってことね」
地底人
「このあいだ寝ている君が僕のいる世界に肉体ごと来ようとしたのか、体外離脱しようとして何度も失敗したろ。でもそんなことしなくても、僕は君の意識が来たらすぐわかるから、それでいいじゃないか」
私
「そもそも私の丹田らへんにあなたが入っているもんね?」
地底人
「そうだよ。それが本当はどういう意味なのか、君はわかるだろ」
私
「私は今、もう、肉体的には中年なんだよね。でも吸血鬼化を来世に持ち越したら、あなたのこともすべて忘れて人生やり直しよ。どうしたらいいのかな」
地底人
「そもそも今世の君の肉体はとても弱い。吸血鬼化に耐えられるのかがわからない。だから音叉をもっと使ってくれって言ってるんだよ」
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