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吸血鬼の生命論


「今日は…いつもお世話になってる霊能者のとこへいきましたとさ。私がピコと通信してる内容について、答え合わせしにいきました」

ピコ
「昨日きみをからかいすぎたせいで、僕やバビロニアを「やっぱり悪魔だったんじゃないか⁉︎」と思ってしまっていたね。まあ、やりすぎたとは思ってるんだよ。それなりに反省はしてるんだ。ふふ。ただ、君にも息抜きが必要だと思ったんだ。それだけさ」


「その霊能者がね…あなたは、善悪の存在しない地底の、いちばん下でご神事をしてるって言ってた。黄泉の神に仕えていると」

ピコ
「そーら言ったろ。君の漫画のキャラ設定と同じじゃないか。僕は地底の神官だ。それも君が思うよりだいぶ重要なことやってるの。
そして君は僕が送ってる情報、自分の体験、僕と君の人間関係をそのまま描いてるだけなんだ。漫画と現実の唯一の違いは、君が地上班、僕が地底班というだけ」


「こんなに漫画と同じだと思わなかったよ。ピコがやってるのは地底においてかなり重要なお仕事だから、ピコは絶対に地底から地上に転生できない状況だとも言ってたね」

ピコ
僕が祀ってるのは、死の神…創造主神。地底の最高神なんだよ


「そもそも今世において、私を国常立大神(地球の創造主神)に縁づけてくれたのはあなたなんだもんね?」

ピコ
「そうだ。創造主神の加護のもと、君は今回の人生で最後の仕事をして、いったん人間を卒業するんだ。霊能者はそのこともちゃんと君に伝えてくれたね。僕は彼女をすごく信頼しているよ。君との通訳には申し分ない」


「その超高圧的な態度ね。通信しててもすごいなぁ〜って、いつも思うよ」

ピコ
「いっとくけど、生活能力がいっさいない君の、霊的サポート…及び物理次元におけるサポートまですべて、すべて、すべて!僕がしてるようなものなんだからね。わかってる?」

私「すべてって3回いった!」

ピコ
「そのさあ…どこまでいっても切羽詰まらない君のその…ユルさ!ああもう、かじってやりたいよ!」

(鼻に皺を寄せ、歯と牙を剥き出しにするピコ)


「その霊能者が、私とあなたは、何度も結婚はしてるわ、兄弟同士だったり、今回みたく共同制作者だったりと、地底で血の盃を交換しあう関係だったっていってたね。私はさ〜、死んだ愛亀の欣二銀二とも、霊界の入り口で血の盃を交換してて…」

ピコ
「彼らも地底人だった頃があるからね。血を飲み交わす、というのは、お互いのエネルギー属性を混ぜあうという霊的な行為。重要な行為なんだよ。なにも中華マフィアだけがやるわけじゃないんだ」

(欣二銀二は中国人だった頃にマフィアだった)

ピコ
「君はさ…僕が最後に人間やった、シュメール時代のあと、天界にいたんだ。僕もいた。お互い高次元存在だったんだ。で、僕はこないだ君に高次元の悪口を垂れ流したんだけど…僕が先に天界から出ていった。で、君は…自己犠牲的な天界の仕事に従事していたので、いいかげん嫌気がさして僕のところへ逃げてきた。そういうストーリーだよ」

私「その時にじゃあ、婚姻契約しているんだね」

ピコ
「そう。そして…いろいろ…お互い若気の至りもあって大げんかしたんだよ。トラブルも重なってね…君は地上へ行っちゃって、僕が怒って追いかけて…という、出来事があった。君の漫画のストーリーと同じ。で、共同制作の契約とかね、契約をたくさんしてる」

私「びっくりしてるよ…」

ピコ
優秀な霊能者によって答え合わせができたからね。これで君もますます作業がはかどるだろう?」


「うん。ねえ、今世の…漫画を描く私自身がまずゴールとして設定されてて…そこまで何度も何度も、漫画のための経験として、転生を繰り返してたっていうのは…」

ピコ
小さいゴールを設定するときに、タイムトラベルするんだよ。未来のいつの時代の、いつの文化に照準を合わせるか決める。そのあとに、魂がさまざまな経験を記憶するための、いくつもの転生のプランをたてる。
だからつまり…たとえ今生が闘病だけで終わったとしても、魂には長い計画があるから。無駄にはならない。ゴールの転生時に、君のように表現者になれば、闘病の記憶を引っ張りだすことができる」


「これってすごい内容じゃない?だって、たとえば…戦死したとしても、そのうしろには長い長い、魂の計画があるってことじゃん」

ピコ
「そうだよ。その人生だけがすべてじゃないんだよ。だから世界にはこんなに理不尽なことが溢れてる。必要で、そうしてる。知的好奇心だよ。物語を作るための」


「この価値観はね…どうしても、生まれ変わりがあるという、スピリチュアルな学びがないと、納得できない人は多いと思う。死んだら終わりって思ってる人はたくさんいるよね?」

ピコ
「そういう人はね、虚無的にならざるを得ないなにかがあるんだよ。過去か過去世に、大きな喪失の記憶があって。それを上書きできていない状態だと、そうなる。
死んだら終わりという信念を書き換えるには、人間一生ぶんの年月じゃ解決できないかもね」

私「その場合はどうするの?」

ピコ
「流れに任せてほっとけばいい。死んだらそのうち生まれ変わるから。どうせ」

私「ああ、なるほど」

ピコ
「生まれ変わったら、計画書にそって、次の人生がスタートする。そのときに前回の喪失の記憶を上書きするイベントが設定されているよ。大体ね」

私「じゃあなにも、心配いらなくない?」

ピコ
「いらないよ!いらないんだけど…今いる生命たちは創造主神のもと、分離して、個体の意識を持って…存在してしまっているからね。
どうせなら学び、遊び、経験したいじゃないか?たくさんのことを」

私「まぁねえ。でもそれっていずれ、飽きたりしないの?

ピコ
「飽きるだろうね。そうしたら…その魂は創造主神のもとへ還って…そして…」

私「そして?」

ピコ

「今度は自分が創造主神になるかもしれないね(ニヤッ)」

ここで会話は中断。
昨日はピコとバビロニアにイタズラされたのでちょっとケンカしていたんですが…今日の通信では、霊能者の方の通訳もあって仲直りしました。
今回の内容は個人的には、いちばんいいんじゃないかなと思っています。



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五月女夕希/野良漫画家
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